【競馬予想】ダービーは「1強」クロワデュノールが断然も、レジェンドを迎えた伏兵に一発の可能性

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2025年05月31日 07:10  webスポルティーバ

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ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――いよいよ3歳馬の頂点を決する大一番、GI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)が迫ってきました。

大西直宏(以下、大西)自分が現役を引退してからおよそ20年。立場が変わっても、ダービーだけは毎年ドキドキ、ワクワクさせられますね。

――大西さんのダービーと言えば、1987年のサニースワローでの2着と1997年のサニーブライアンでの戴冠と2戦2連対。いずれも思い出深いレースなのではないでしょうか。

大西 そうですね。とりわけ、僕のジョッキー人生を変えてくれた二冠馬サニーブライアンのことは強く印象に残っています。デビューから9戦目にGI皐月賞(中山・芝2000m)を制して、ダービーまでは6週間あったのですが、馬が日に日によくなっていって。その中間の過程のことは、いまだに忘れられません。

 最終追い切りでは、GI安田記念に出走予定の、芦毛の外国産馬スピードワールドと併せ馬を敢行。同馬の手綱を取る田原成貴さんも関西から駆けつけて、「いい追い切りができそうだな」と思っていました。ところが、こちらが先行して併せる予定だったのに、待てど暮らせど後ろからスピードワールドが迫ってくる気配がなく、結局単走での追いになってしまいました。

 おかげで、レース前日の土曜日の朝イチに上がり3ハロンの"前日追い"で微調整することになったのですが、そのときの風圧というか、迫力がとにかく抜群でした。好調時に出ると言われる「銭形模様」も馬体にクッキリと浮かび上がっていて、出来に関しては皐月賞のときよりもはるかに手応えを感じていました。

――皐月賞に続いて、ダービーでも大外の8枠18番発走でした。

大西 当時、枠順抽選会は公開で行なわれ、ダービーのときは美浦トレセンの事務所だったか、どこかしらの会館で実施されました。そこには自分が任されて行ったのですが、皐月賞のときと同様、「(他馬に)かぶされたくないので、今度も外枠がほしい」と思っていて、自らの順番が来た際には「残りは全部18番!」と祈りながら、ガラガラの抽選機を回しました。

 すると、出てきたのはドンピシャの18番の玉。「こりゃあ、間違いなく追い風が吹いている」と確信しましたね。

――そして実際、見事に二冠を達成。「最も運のある馬が勝つ」といったダービーの格言どおりのエピソードですね。さて、今年はどの馬が最大の運を引き寄せるのかが注目されますが、出走メンバーをご覧になっての率直な印象を聞かせてください。

大西 今年も、皐月賞(4月20日)の上位組と別路線組の争い、といった構図は同じだと思います。ただし、世間のイメージよりも各馬の能力には差があると見ています。

 皐月賞では、道中の不利や、勝ち馬ミュージアムマイル(牡3歳)の手綱を取ったジョアン・モレイラ騎手の神騎乗によって2着に敗れたクロワデュノール(牡3歳)ですが、基本的にはこの馬が頭ひとつ抜けた存在であり、同馬の「1強」という状況にあると思っています。

 クロワデュノールはどこからでも競馬ができる強みがあり、鞍上の北村友一騎手を筆頭とした関係者同士のつながりも強固です。競馬なので、絶対はなく、また何かにやられる可能性はゼロではありませんが、連軸としての信頼度はダントツ。「まず2着は外さない」と言ってもいいくらいです。

――では、あえてお伺いしますが、クロワデュノールを脅かす存在がいるといたら、どの馬になりますか。

大西 武豊騎手が7度目のダービー制覇を目指してコンビを組む、サトノシャイニング(牡3歳)ですね。

 皐月賞では1角と向正面で他馬と接触する不利がありましたけど、5着に終わった要因は、クロワデュノールを意識して仕掛けるのが早かった、というのが自分の見立てです。

 距離は異なるものの、今回と同じ東京競馬場で行なわれたGII東京スポーツ杯2歳S(2着。11月16日/芝1800m)では、落鉄のアクシデントもありながら、最後まで競り合ってクロワデュノールを苦しめる走りを見せました。

 その一戦を物差しにして考えれば、乗り方次第では再びクロワデュノールとも接戦を演じられるでしょうし、場合によっては逆転まで持ち込める――そんな可能性もこの馬は秘めていると思います。

――一昨年のダミアン・レーン騎手(タスティエーラ)に続いて、テン乗りでのダービー制覇が期待できるということでしょうか。

大西 今回は、主戦の西村淳也騎手の負傷離脱に伴ってのこと。結果、ダービー6勝の武豊騎手、それもサトノシャイニングの祖父ディープインパクト、父キズナの主戦を務めたレジェンドを迎えられたことは、大きな強調材料と言えます。

 そして何より、ダービーは皐月賞以上に特別な舞台。経験豊富なレジェンドジョッキーとのタッグ結成は心強い限りです。極限のプレッシャーのなかでも、冷静沈着な判断ができ、臨機応変な騎乗ができる唯一無二の存在ですからね。

 サトノシャイニングは気性的に少し乗り難しいタイプですが、クロワデュノールの前か後ろの離れすぎない位置で運んで、これ以上ないタイミングで仕掛けていく、理想的な騎乗をしてくれるのではないでしょうか。

 頼もしい鞍上と新たにタッグを組んで、不完全燃焼に終わった皐月賞の鬱憤を晴らす可能性が高いサトノシャイニング。ダービーの「ヒモ穴」には、この馬を指名したいと思います。

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