
日本時間5月27日、19号ホームランを放った大谷翔平。5月は23試合で12本塁打と絶好調だ。
“ピッチャー大谷”が戻ってくる
「これまで2度の月間MVPを獲得したことのある6月に調子を上げていた大谷選手ですが、2025年は5月もホームランを量産しています。昨年は自己最多の54本塁打でナショナルリーグのホームラン王に輝きましたが、6月も例年どおりの絶好調になれば、昨シーズン以上の記録を打ち立てるかもしれません」(スポーツ紙記者、以下同)
打者に専念した2024年は、史上初となる50本塁打&50盗塁の“50-50”を達成したが、投手としての復帰も近づいてきている。
「当初は5月の投手復帰を目指していましたが、昨年に痛めた左肩の影響もあって一時、本格的な調整を中断していました。東京ドームで行われた開幕戦を終え、アメリカに戻ってから調整を再開。ここ最近は週に1度、ブルペンでの本格的な投球練習を行っていました。5月22日には、ひじに負担がかかるとされるスライダーを解禁。いよいよ二刀流の復活も見えてきました」
慎重に復帰へのプロセスを歩んでいるが“ピッチャー大谷”が戻ってくるのはチームにとっても大きい。
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「地区首位を走るドジャースですが、投手にケガ人が続出。現状の先発ローテーションで期待できるのは山本由伸投手くらいです。今年から加入した佐々木朗希投手は、右肩に痛みがあることを球団に報告せずに登板。戦線離脱となったことで非難を浴びています。大谷選手にとって佐々木投手は同じ岩手県出身の後輩。“兄貴分”がマウンドに戻って、佐々木投手を含めたドジャース投手陣を救う、という展開になるかもしれません」
大谷が右ひじにメスを入れたのは2度。また同じところを痛めれば、投手としては致命傷になりかねないうえに、打撃にも影響を与える可能性もある。大谷自身も3月に、
「ピッチャーとしてはラストチャンスくらいのつもりだと覚悟している」
と、背水の陣の覚悟を語っている。
打撃だけでもメジャーリーグトップクラスの大谷が、それほどまでに投手にこだわる理由は花巻東高校時代にあった。
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「大谷選手は、野球を始めた小学生のときから打っても投げても“規格外”の能力を発揮していました。ですが、花巻東高では成長期に無理をさせない佐々木洋監督の方針や自身のケガもあり納得のいく結果は出せなかったようです。
そのため、二刀流という考えがなかった時点では、投手か野手かという選択肢の中で“投手としてやり残したことがあまりにも多い。このまま投手をやめると心残りがある”と投手の道を進むことを心に決めたようです」(スポーツライター、以下同)
当初は高校卒業後、そのままアメリカに渡るつもりだった大谷。日本ハムがドラフトで強行指名し、当時の監督・栗山英樹氏と出会ったことで二刀流という道が開けた。投手と打者の両方で活躍しながらも、やはりピッチャーへの思いは強かったようだ。
「エンゼルス時代の2018年に、1度目の右ひじの手術を受け、投手として出場することができなくなった際には“一番の娯楽がなくなった”とコメントするほど、投手を楽しんでいたようです。大谷選手の中で、打撃に関しては子どものころからしっかりと指導を受けてきたのに対して、投手は独学でやってきて、不器用という意識が強いそう。その不器用な部分があるからこそ、投手への思い入れが強く、打撃と比べて“伸びしろ”があると考えているようです」
二刀流での“ゴール”
大谷が念願のマウンドに帰ってくる日はいつになるのか。
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「7月16日のオールスター戦の後と見られています。ただ、ドジャースの投手陣はケガ人が多く、手術明けの選手も抱えています。チーム事情としては早く復帰してもらいたいでしょう」(前出・スポーツ紙記者)
オールスター前に“前倒し復帰”という可能性はあるのか。メジャーリーグ研究家の友成那智さんに聞いた。
「通常であれば、マイナーリーグで調整してからメジャーで登板する形になるのですが、ドジャース打線の要となっている大谷選手は欠場するのが難しく、マイナーの試合で調整登板ができません。なので実戦形式の練習で、それに近い球数を投げてからの復帰になるでしょう。先発投手は不足していますが、球団がこれからトレードで獲得すると思うので、大谷選手の投手復帰を無理に前倒しするということは考えにくい。本格的にローテーションに入るのは8月になるかもしれません」
今シーズンの二刀流での“ゴール”は、どこになるのか。
「投手としては、ワールドシリーズに向けたポストシーズンのローテーションに入れるかどうか。大谷選手としても今シーズンに投手をやるなら、そこを目指すでしょう。8月は球数も制限されると思いますが、9月以降はエンゼルス時代のようなピッチングが期待できるかもしれません。昨年のポストシーズンではあまり活躍できなかったので、今年は二刀流で活躍することを目標に調整するでしょう」(友成さん)
刻一刻と迫っているXデー。二刀流でもヒーローとなる日は近そうだ。