長岡一也さん(フリーアナウンサー)【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆毎日杯を勝利したファンダムにも注目
生涯に一度しかチャレンジできないクラシックレースは、それに合わせて出走させるために様々なことが起きる。いい方向に向き始めて体調が良くなっている時にレースがあれば、これに越したことはない。また、使われるごとに完成度が上がる馬もいるので、予断を許さないところがあり、特に日本ダービーは、春のこの時期という各馬にとって微妙な状況にあるだけに難しい。日本ダービーは運のいいものに味方すると考えるのも当然だ。
それでも勝ち馬に限定すると、この10年で皐月賞組が8勝していて、連対馬に手を広げると16連対と圧倒的だ。一冠目の皐月賞の上位組にはチャンスが大きいが、着順よりも勝ち馬以外は、それとの差がどれほどだったかに鍵がある。
これまでの0秒5以上離されていたものでも、東京に実績のあったものの好走は、多くはないが、何頭かはいたので無視はできない。今年の場合は、5着のサトノシャイニングが勝ち馬ミュージアムマイルに0秒4差だったから、日本ダービーでは十分にチャンスのある一頭と考えていいだろう。その皐月賞は16番枠からのレースで、道中スムーズさを欠いて位置どりが悪かった。だが、日本ダービーも大外枠で、テン乗りの武豊騎手がどう戦うか、新味を出すことに期待したい。となるとここはやはり皐月賞1、2着馬を素直に取り上げるべきだろう。
どっちを中心にするかだが、今度も東京に実績がある皐月賞2着のクロワデュノールにする。ぶっつけだった皐月賞では、道中厳しい流れの中、自ら動いて早目に進出し、一旦は先頭に立つところがあった。デビュー3連勝で東スポ杯2歳SとホープフルSを勝っており、世代の頂点に立てる存在と言える。パートナーの北村友一騎手はデビュー20年目、日本ダービーは3度目の参戦で、期するものがあるだろう。
皐月賞馬ミュージアムマイルは、モレイラ騎手からレーン騎手にバトンタッチされたが、ラスト100米で突き抜けた衝撃の末脚があるからと言って、未経験の東京では少しマイナスになる。連対までか。
これよりも、東京でアイビーSと共同通信杯を勝っている皐月賞3着のマスカレードボールの末脚に可能性がありそうだ。皐月賞では4コーナー13番手から、ラスト3ハロン33秒9の末脚を発揮していた。17番枠でも自分の競馬に徹すればいいのだから、この馬のチャンスは大きいだろう。皐月賞は勝ち馬に0秒3差だった。
別路線組からは、今年は毎日杯のファンダムが目立っている。無傷の3連勝で、この1800米をラスト3ハロンを32秒5と次元の違う末脚を発揮、1分45秒9でまとめていた。このケースではこれまで、キズナ、ディープスカイ、シャフリヤールとダービー馬になっている。4年ぶりにと少し気にしてみようと思っている。
「最強の 名誉をかける 夢舞台」