『呪術廻戦』櫻井孝宏、演じたかったのは夏油傑の“青さと未熟さ” アフレコでは子安武人の存在感に圧倒される【インタビュー前編】

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2025年05月31日 12:00  ORICON NEWS

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『呪術廻戦』夏油傑役の櫻井孝宏 (C)ORICON NewS inc.
 テレビアニメ『呪術廻戦』第2期「懐玉・玉折」全5話の総集編となる『劇場総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』が、30日に全国で公開された。この度、テレビアニメから引き続き夏油傑の声を演じる櫻井孝宏が取材に応じ、キャラクターの魅力と、アフレコ収録当時の思い出を語った。

【画像】心がざわつく…!『劇場版総集編 呪術廻戦 懐玉・玉折』場面カット20点

 本作は、2023年に放送されたテレビアニメ第2期のうち、全5話となる「懐玉・玉折」のストーリーの総集編となる。全編の音楽を5.1chサラウンドの劇場環境に合わせて再ミックスし、一部楽曲は劇場版用にリアレンジ。さらに、テレビアニメ時のオープニングテーマをアレンジしたキタニタツヤの「青のすみか (Acoustic ver.)」を主題歌として迎える。

■演じたかったのは夏油傑の“青さと未熟さ”
―「懐玉・玉折」は、テレビアニメ放送当時から過去の夏油の変化が描かれるエピソードとしても話題になっていました。改めて収録当時を振り返って、演じる上で意識されていたことを教えてください。
櫻井:アニメーションですと、1期があって、『劇場版 呪術廻戦 0』があって、2期の「懐玉・玉折」、というふうに巻き戻すような形で作られるので、その後の展開をわかった上で観ることにはなるんですが、そのことを複雑に考えないようにしました。シンプルに、若い学生時代の彼(夏油)をうまく表現できればなと思っていたんですが、やりやすくて。私が1番やりたかった、ややこしい人物になっていく前の彼でした。内なるものはあって、少し孤独は抱えていて重い。でも、若さとか、10代の学生時代、青春を、他の登場人物たちと作れたらなと思って。そこに流れる雰囲気とか空気とか、そういうものを大事にしたいなと思って収録に臨んでいました。

―”1番やりたかった彼(夏油)”というのは、ピュアな部分ということですか?
櫻井:そうです。(この後は)複雑になっていってしまうので、青さとか、未熟さとか、高専時代の「私達は最強なんだ」なんて言って、家入から「クズ」とか「バカ」とかって言われてる、子供っぽい時間をいかに美しく作れるかが大事かなと思っていました。後にすごいややこしくなってきて、いろいろ考えなきゃいけなくなるから大変なので。それはそれで、表現のおもしろみはあるんですけど、飾らずプレーンなマインドでアプローチできるのは本当ここぐらいなので、私の中では非常に大事な位置付けにはなっていましたね。

■夏油傑の美しさは“優しさ”にあり
―夏油の1番魅力的な部分ってどこだと思いますか。
櫻井:うーん…かっこいいですよね。そういう粒のでかい言葉になっちゃうんです。”優しい”とか、”妙な色気がある”とか。それは五条との対比が特にこの高専時代はあるので、奔放で危なっかしい五条悟に対して、常識的で諭すような夏油っていうコンビネーションがあって。その相棒感も素敵ですし、それでいて”最強”を謳うっていう悪ガキみたいな。キラキラしてるんです。それを担保しているのが、若さだったり、未熟さだったりもするんですけども、ああいう不完全な、集団で何か1つを形作っているっていう時代が、みんなを切ない気持ちにさせるんですよね。1人で立ってない感じというか。だからどうしても、彼のその魅力を説明すると、本当、”優しい”とかなっちゃうんです。思いやりがあるとか、目端が利くとか、自分を二の次にしちゃうようなところとか。彼の目線の先を追っていくと五条のことを見てたりとか、天内のこと見てたりとか。そこに彼の美しさがあるなと思います。

―夏油の人生のその後とのギャップもありますよね。その優しさという部分で見ると。
櫻井:そうですね。でも、彼ってああいう風に傾いてはいくんですけども、内訳はあんまり変わってなくて。「呪術は非術師を守るためにある」っていう、彼の教義みたいなものがあって、“弱きを助け、強きをくじく”みたいな言葉で彼は説明してましたけども、術師の世界を目指すに至る菜々子・美々子の事件があって、術師がああいう風に虐げられている、守るべき存在という価値観の入れ替えみたいなものがあって。基本的な彼の理念は、あんま変わってないような気がするんですよね。違う道を歩んでいったっていう、そういうことだと思うので、確かに、いる場所がだいぶ変わっちゃったので、ちょっと切なく見ちゃう節もあるんですけど、彼自身のスタンスは、実はあんまり大きく変わってないんじゃないのかな。守るもの、守る対象が変わったとも言えますよね。

■アフレコで感じた禪院甚爾役・子安武人の存在感
―アフレコ時を振り返っていただいて、印象的なエピソードを教えてください。
櫻井:アフレコは粛々と進みました。合間は雑談で、あとはもう収録を積み上げて組み立てていく。その繰り返しだった中で、禪院甚爾役の子安武人さんが、存在感がありましたね。(役も本人も)両方強い(笑)。呪力を持たず超絶フィジカルで戦う孤高の殺し屋で、五条レベルの術師たちと対等以上に渡り合う、あの強さ。その強靭さは、子安さん自身からも感じられました。聞くところによると、やってみたい役だったと子安さん自身がおっしゃられていたそうで、私はぴったりだと思ったし、恐怖を感じるほどの圧倒的な強さの中にどこか空虚なニュアンスがあるのが素晴らしくて、そこにちょっと惹かれてしまいました。何らかの美しさ、儚さがあるんですよ。すごく印象的でしたね。

―普段からアフレコ現場では雑談をされる方ですか。
櫻井:現場によりますが話しかけられれば(笑)。そういうコミュニケーションを通じて、例えばコミュニケーションやリズムが生まれたり、その瞬間のお互いのコンディションやモチベーションや、そういう目に映らない気分のトーンを合わせるというか、調律するような手段になっていたりします。

―調整してちょうど収録の時にピークが来るようにということですね。
櫻井:そうです。そういう手段の1つと私は捉えています。

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