写真 毎年4月に発表となった内閣府の消費動向調査によると、総世帯のスマートフォン(スマホ)の普及率が初めて前年を下回った。しかし、BCNランキングでは、2024年の販売台数指数は14年以降で最も高い値を記録した。
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内閣府の消費動向調査によると、集計を開始した14年からスマホの普及率は右肩上がりで推移。23年から鈍化したものの上昇は続いていた。25年に発表されたスマホの普及率は90.1%と前年90.7%から0.6ポイント減。前年を下回ったのは初めてだ。
では、販売動向はどのように推移しているのか。家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」を用い、14年の販売台数を「100.0」とした指数を算出した。こちらも基点とした14年以降、右肩上がりの傾向であった。
しかし、販売台数指数でも前年を下回る時期があった。まず、20年はコロナ禍で一時的に販売店が営業自粛した期間もあったため、前年よりも10ポイント近く下落。次は22年で、円安を背景に部材価格が高騰し、端末価格の値上がりに直結したことなどが、需要の低下を招いた。
翌23年も円安の継続に加え、消費財を中心とした値上がりなど経済状況の悪化が需要減につながった。しかし、24年は一転して137.2に達し、14年以降最高となった。アップル「iPhone 15」やXiaomi「Redmi 12 5G」などが、躍進の原動力となった。
再び内閣府が発表した消費動向調査を使い、携帯電話の買い替え理由をみる。「上位品目」への買い替えが減っていることは以前にも記事化したが、25年発表の調査結果でもその傾向は変わらず、24.6%まで減少。一方、「故障」の比率は23年以降、4割近い比率を維持しており、スマホは壊れるまで使う傾向が顕在化している。
<過去記事>
「Pixel 9」や「iPhone 16」のような10万円超えのスマートフォンは必要か?
https://www.bcnretail.com/market/detail/20240928_457369.html
また、買い替え理由の「その他」の比率も増えている。これは、スマホの販売形態の変化に起因しているといえそうだ。現在は安価な月額を支払い、2年間利用して端末を返却するレンタルプランが主流となっている。販売形態の変化により、買い替え理由の「その他」の比率が増加したと見てもよさそうだ。(BCN総研・森英二)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。