外国人が続々「四国遍路」へ 徒歩・自転車で1400キロ踏破した“遍路大使”が年間500人超 宿泊者の8割が外国人という施設も

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2025年05月31日 18:20  まいどなニュース

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第88番札所大窪寺を参拝する外国人遍路

弘法大師空海ゆかりの霊場88カ所を巡る伝統の「四国遍路」が近年、様相をじわり変化させている。外国人の増加だ。インバウンド(訪日客)人気の高まりが背景にあるとみられ、札所近くでは利用する遍路の8割が外国人という宿泊施設があるという。お遍路シーズン真っただ中の香川県内でも札所や巡礼路から異国の言語が聞こえてくる。

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徳島県境にある第88番札所の大窪寺(さぬき市多和兼割)。4月下旬に訪ねると、欧米やアジアとみられる外国人巡礼者に出くわした。個人やカップルといった小所帯が目立ち、おなじみの編みがさ、白装束姿だったり、ハイキングを思わせる軽装で臨んだり。

「遍路の価値は自分自身と向き合い、人々との出会いや自然豊かな風景を体験する日々にある」。こう英語で語ってくれたのはプエルトリコ出身で米国在住のニコラス・シャーウッドさん(40)。パートナー女性とともに1カ月かけて自転車で巡ったといい「外国人に日本の文化や宗教を知ってもらう素晴らしい方法」と持ち上げてみせた。

これら外国人遍路の増減を測る目安の一つに「遍路大使」がある。徒歩や自転車で結願(けちがん)を達成した遍路の申請に応じ、NPO法人遍路とおもてなしのネットワーク(高松市)が任命する制度で、外国人は2023年に512人(任命全体の28.2%)に上った。数にして10年前の13年(129人、5.0%)のほぼ4倍となる計算だ。

「スペインのサンティアゴ巡礼路の経験者、四国遍路体験をつづったフランス人のベストセラーを読んだ人たちが訪れるほか、SNS(交流サイト)でも魅力が拡散しているようだ」とネットワーク。

遍路を受け入れる宿泊シーンも変わりつつある。第87番札所長尾寺(さぬき市長尾西)近くにあり、年間千人の遍路が利用するというゲストハウスによると、欧州や台湾、米国を中心に外国人が年を追うごとに増え、現在は宿泊する遍路の8割を占めるという。

もっとも遍路の数自体は年々減少傾向とされる。ネットワークによると、新型コロナウイルス禍で一気に激減し、現在もコロナ禍以前の水準に戻っていない。「かつて中心だった50代後半から60代が定年延長で働くようになった。運転手不足の影響でバスツアーが減ったのも減少要因の一つ」と分析する。

外国人遍路の存在感は今後一層増すことになるか。先のゲストハウスを営む藤嶋正造オーナー(60)は「外国人遍路にとって宿探しは一番の課題だが、外国語を話せず、意思疎通が難しい宿も少なくない」と指摘。同業者と連携し、外国人も利用しやすい遍路向け宿の仲介サイトの構築といった対応策を検討しているという。

【四国遍路】88カ所ある空海ゆかりの霊場と、それらを結ぶ約1400キロの巡礼路。1番札所霊山寺(徳島県)から高知、愛媛県を経て大窪寺(さぬき市)までで1周となる。起源は平安時代の修行僧とされ、江戸時代に庶民にも広がり、2014年に開創1200年を迎えた。15年には「『四国遍路』〜回遊型巡礼路と独自の巡礼文化」が日本遺産に認定され、四国の官民による世界遺産登録を目指す活動も続く。シーズンは春(3〜6月ごろ)秋(9〜11月ごろ)とされる。

(まいどなニュース/山陽新聞)

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  • HV車でのお遍路はお勧めできない。何故なら、移動中にパンクしたり空調が故障したりパンを同乗者に食べられてしまう恐れがあるんだとか。
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