「人間嫌いすぎて山奥で一人で暮らしたい」38歳独身の悲願 だが“日本三大秘境”ですら突きつけられる「結局、人からは逃げられない」という現実

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2025年06月01日 06:20  キャリコネニュース

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僕は自宅にこもって仕事をして暮らしている。当たり前だがそれだけだと運動不足になるので毎日外には出ている。買い物とかもするし遊びにも行く。ただ人とのかかわり方があんまり上手くはないので、なんかずっとしんどい。

皆さんもそうだと思うけど、他人と話すと疲れるよね。人間は社会性の動物。社会と。つまり他者とかかわりなく生きていくことは、現代日本では相当難しい。

「誰の目にも触れずに生きたい」と思う人は少なくないかもしれないが、それって誰からの手助けも得ずに生きていくしかないわけで、これはもうほとんど不可能に近い。世間ではやたら自立云々言うけれど、本当の意味で自立して生きていられる人間はいない。(文:松本ミゾレ)

「人の声を聞くだけで嫌な気分になる」

先日、ガールズちゃんねるに「人間が嫌いすぎて山奥に1人で暮らしたい」というトピックが立っていた。これを立てたのは38歳独身という人物。

子供のころからコミュ障と自覚しており、学生時代はいじめのターゲットにこそならなかったものの、友達もできずにぼっちだったという。社会人になってからは職場で孤立し、上司と折り合いが悪くなって、最終的には口論に発展して退社することが多かったとも。

さらに今は派遣社員をやっているが、働くことも苦痛。とにかく人間が嫌なのだという。

「外に出ると人がいるし、人の声を聞くだけで嫌な気分になるし人が怖いので休みの日は家にいます。人間が嫌いすぎて結婚したいとか子供欲しいと思った事もないです。インドアなので貯金は沢山あるので山奥に行って1人で暮らしたいと思ってます。親に相談しましたが猛反対されて『今の仕事を続けろ!』って怒られました」

と書き込んでいる。本格的な人間嫌いなのだろう。その上で「皆さんはどう思いますか」と質問を投げかけている。

まとめると、人が嫌い。貯金はある。山奥で暮らしたい、というわけだ。

これに対しての反応としては「林業とかどうですか。担い手不足で自治体の支援がありそう」とか「狩猟免許あれば便利だよ」といったものがある。

が、僕は分かるぞ。この人間嫌いの独身さんにとっては、子供の頃からずぅっと他人と関わるのが苦痛だったのだ。だから山奥に逃げてしまいたいのである。
なのに、「山に住むなら林業してみなよ」だの「狩猟免許取りなよ」は正直、この人の気持ちを考えてない、浅い発言だなぁと思っちゃう。もうこれ以上他人と関与したくねえっつってんの。この人は。

だから私たちがやれることとしては、じゃあどうやればこの人の望みは叶うのか? と真剣に考えることなんじゃねえのかな。

山奥ですら他者とのかかわりは断ち切れない

僕は九州の田舎の出身。四方は山、川、海に囲まれた生活を送っていたけど、経験上知ってるんだよね。山奥ほどそこに暮らす人たちの関与は密になるものだ。幼少期の僕が住んでいたのが宮崎県の椎葉村というところで、これは未だに日本三大秘境の一角とされている村である。

そういうところでは、各世帯の無事をお互いが確認するためにも、ご近所付き合いが必須なのだ。そう、日本三大秘境ですら、この人の望む人との関係を遮断した生活とはほど遠いのだ。なので、もっと人間が立ち寄らない山奥まで入り、そこで小屋を建てる必要がある。

ここで立ちはだかる問題が2つある。1つは土地の問題。現実的な話、いくら山奥と言っても山というのは所詮は誰かの所有物にあたるので、まず山を購入して開墾・管理する必要がある。

これに関してはこの人はお金があると名言しているので、山を買うこと自体は可能だろう。
ただし、山を買って立ち入り禁止の看板を立てたところで他人が入らない保証はない。山菜が採れる山だと、そんな看板無視して他人が押し寄せる。

だからある程度、実りの少ない山を狙って購入しなければならず、結局そのリサーチをするにも自分の脚と、ある程度の他者との関与が必須となる。

もう1つが住居とインフラの問題。山奥に小屋でも立てて、そこで住めば良いと考えるのは簡単なんだけど、自分で家を建てるのはなかなか難しい。建材を山に持ち込むだけでも骨が折れるし(そもそも持ち込めないと考えるべき)、ある程度水源に近いところに建てないと飲み水の確保も苦労する。

水源から水を引き込むための水路だって自分で作らないといけない。誰か専門的な技術を持つ他人に任せるにしても、トラックが入れないような山奥となると、きっと引き受けてはくれないだろうからラクはできない。電気に関しては、これはいっそ諦めれば気が楽だが、水はどうしようもないよね。

さらに言えば、こういった不便を押して、独力で山奥で生活をすることに成功したとしても、税金の納付はしなければならないし。これは誰も逃げられない。

結局どんなに山の中に引きこもって生きようと思っても、人間とのかかわりからは逃げられない。それよりもお金があるのなら、なるべく人の少ない地域に引っ越しをして、貯金を少しずつ切り崩しながら質素に引きこもって暮らすほうが何倍かラクなんじゃないかなぁ。

この人が知っているかどうかは分からないけど、山奥の夜って本当に光源なしでは自分の手足すら見えないし、意外と虫の鳴き声だったり環境音もやかましいのでそこまで住みよくないんだよね。

この時代に人間として生まれた以上、人間とかかわって、人間として死ぬことからはそうそう逃れられないし……。

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