住宅ローンが月々6万5000円、食費は10万円、そこに子2人の学費が……世帯年収1100万円のリアルな支出状況

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2025年06月01日 06:20  キャリコネニュース

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世帯年収が1100万円あっても、子育て家庭の場合、将来の不安は尽きない。特に40代後半から50代前半は特に出費が嵩む時期だ。子どもが高校や大学に進学して教育費がかかる上に、親の介護費を負担する可能性もある。

地方在住の山田さん(仮名、50代女性)は2歳年下の夫、大学生と高校生の2人の子ども、保護猫2匹と暮らしている。世帯年収は1170万円だが、

「スーパーやドラッグストアでは値引シールを探し、クーポンやポイントも使い、PB商品もよく購入する」

「家族での外食は月1回程度。誕生日などは回転寿司のテイクアウトを利用。4人とも弁当と水筒持参。晩酌の習慣はなし」

と節約に余念がない様子。編集部は山田さんに取材し、支出と貯蓄の状況を詳しく聞いた。(文:天音琴葉)

住宅ローンは月6万5000円、食費は月10万円も、最も多いのは教育費

山田さんの世帯年収が1000万を超えたのは3年前からだ。

「年収が上がっても税金や社会保険料も上がるので、手取りはそこまで増えず贅沢はできない」

現在の世帯年収1170万円の内訳は、商社で品質保証業務に就いているご主人の年収が710万円、士業事務所のスタッフである山田さん自身の年収は460万円だ。

月々の支出状況を聞くと、住居費、車にかかる費用、食費、教育費、家族のお小遣いについて、次のように教えてくれた。ちなみに手取り月収は山田さん25万円、夫30万円で合計55万円だという。

住宅ローンの返済:月6万5000円(ボーナス時は10万円)

食費:月10万円

日用品:2万円

教育費:月平均で17万円弱(私立大学生の長男は学費が年110万円、定期代が年15万円。公立高校生の長女は学費が年8万円。昨年は所得等の要件を満たしたため、高等学校等就学支援金制度を活用。10万円の修学旅行費、部活動の費用は別途。塾費用が年60万円)

車2台(軽自動車とミニバン)にかかる費用:月平均で4万円ほど (ガソリン・維持費が1台で年24万円)

家族のお小遣い:月4万3000円(ご主人は3万円で、ボーナス時は+2万円。長男は7000円だったが4月からバイトを始めたため0円。長女は5000円。自身は0円だが猫に8000円)

光熱費: 月1万後半〜2万後半(オール電化で季節によって変動。冬はファンヒーター用の灯油代も含む)

通信費:月 2万2000円程度(サブブランドのスマホ4台とWi-Fi)

ここに挙がっただけで月々の支出は48万円前後になる。お小遣いには、会社の飲み会などの交際費、医療費、服飾費、散髪代は含まれないので、別途支出がある。ボーナスが別途出るとは言うが、普段の月の貯金額は数万円になってしまう。

「一番高くつくのは塾代。長女は理系なので私立大学なら年150万円が必要になる」

子どもが高校生と大学生とあって、やはり教育費の負担が大きいようだ。

「ちなみに長男が高校生だった時の学費は年52万円でしたが、附属高校からの内部推薦で大学に進学したため、塾や受験の費用負担は一切なしで済みました。一方で長女は公立高校で学費は少ないですが、一番高くつくのは塾代です」

つまり私立高校だった長男と公立高校の長女の教育費が結果的に同じくらいということになる。高校授業料の無償化が進む一方、値上がりする塾代に取って代わるだけで、教育費が減る見込みがないという家庭は多いようだ。

長男も、大学の入学式に着るスーツ代が「体型的に既製品は無理でオーダー」という理由で12万円かかった。ほかにも教習所の費用に27万円がかかったそう。大学入学後もしばらくは急な出費があるかもしれない。大学には自宅から通うそうだから、まだ少ないほうだろうか。

「長女は理系なので、大学が私立となれば文系の長男よりも多い、年150万円が必要になる。世帯年収や子どもの人数・学力から鑑みれば教育費は全額自力で用意するしかなく、両実家からの援助も期待できない状況です。生活がカツカツとは思わないが将来を考えると余裕があるとも思えません。子どもにも『うちはどこにも行かないね』とよく言われます」

「長女の高校卒業までの2年間であと100万貯める予定です」

今後、車や家電の買い替えも必ず発生するため、「自分たちの老後への蓄えはいつどうやって?」と頭を抱えた山田さん。確かに、前出の支出状況ではなかなか貯蓄に回せないような気もするが、子どものための貯金はあるという。

「10年前に子どものために加入した養老保険が満期になり、受け取った400万円を含め、預貯金は750万円ほどあります。ですが足らないことに気づき、長女の高校卒業までの2年間であと100万貯める予定です」

2年後に予定通り850万円になれば、長男と長女の今後の大学費用に750万円をあてる。残りの100万円を「生活防衛費」と考えているが、「心許ない」とこぼす。結婚当初から、なかなかお金を貯められなかった事情があるようだ。

「職場結婚で派遣社員だった私は退職し、就職活動をして内定をもらいましたが、妊娠が発覚し白紙に。それから3年の間に出産が2回、車の買い替えや家の頭金支払いと引越しが発生し、貯金は全くできなかったです。当時の主人の年収は、今の自分と同じくらいで500万円もありませんでしたから」

そこで長男が3歳、長女が1歳になりパートに出たものの、保育料を差し引くと手元にはわずかしか残らなかったようだ。

「今から思えば、所得税がかからなかった103万円ではなく、夫の社会保険料の扶養から外れる130万未満まで働いて、少しでも貯めたり投資をしておけば良かった」

長女が小学校に入学する直前、山田さんが40歳を過ぎた頃に正社員の仕事に転職。それを機に、子どものために養老保険に入り、ようやく貯蓄をスタートさせられたという。

子どもたちのための貯金とは別に、自分たちの老後資金も貯めている最中だという。夫婦ともに就職氷河期世代で、非正規も含め転職を繰り返してきたため退職金は全く当てにならないそうだ。

「大事なのは年収よりも、実家の太さと若い頃からの資産形成」?

現在までに投資で123万円を貯めており、内訳はiDeCoが80万円、新一般NISAが15万円、旧一般NISAが28万円(投信は売却し、貯金へ回した分も含む)。だが投資である以上、リスクは付き物だ。

「旧NISAは国内株式を37万円で購入しましたが、現状では9万円の赤字が出ています。新NISAも複利の恩恵を得られるほどの長期投資ができる年齢でもなく、仕事もこのままとは限らず、続けられる保証はありません」

上記の投資以外に、個人年金保険とドル建て終身保険でも所得控除を活用しながら資産形成をしているそうだが……

「世帯年収が1000万を超えても、子どもが2人いると老後のお金の心配が尽きません。大事なのは年収よりも、実家の太さと若い頃からの資産形成ではないでしょうか」

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