
サイクリストの目線で京都の交通安全を守る京都府警の「自転車取締小隊(通称Be―Unit(ビーユニット))」が、今春、発足から1年を迎えた。自転車ならではの機動力を生かして違反に目を光らせる。入学や進学、観光シーズンが重なる春の街で、自転車や電動キックボードの正しい利用を促す活動に密着した。
ビーユニットは昨年4月に発足した。現在は府警交通機動隊の11人が所属し、主に京都市中心部で自転車や電動キックボードの取り締まりに当たっている。今月には、黒地に黄の蛍光色をあしらった真新しい活動服を導入した。
隊員数人が一組となり、上京区の交通機動隊庁舎から自転車に乗って取り締まりに出発した。現場までの道中は、一時停止や右左折する時に手信号を出すなど、自転車の模範的な運転を実践しながら走る。道路の右側を走る自転車を見つけると、すかさず「左側を走って」と注意を促した。
この日の現場は中京区の室町姉小路交差点。信号がない幅約5メートルの道に一時停止の標識が立つ。隊員は、止まらずに交差点を通過していく自転車を認めると停止を求めた。1時間の取り締まりで、男女3人に対し道交法違反(一時不停止)の疑いで交通切符(赤切符)を交付した。20代男性は記者の取材に、「ミラーで車の確認はしたが、標識には気がつかなかった。車にひかれなければいいと思い、一時停止しなかった」と話した。
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ビーユニットの強みは小回りの良さだ。市中心部は、幅の狭い一方通行の道が編み目のように存在し、そこを縫うように自転車が走っている。石原直紀小隊長は「パトカーや白バイで全ての違反を追えるかという課題がある。自転車なら、相手を止めて指導しやすい」と語る。
隊員は御池通に移動して取り締まりを再開し、今度は電動キックボードの違反走行に監視の目を光らせた。2023年の道交法改正で交通ルールが明確になり、御池通のように電動キックボードが走れる歩道では最高時速6キロ以下に制限する「点滅モード」の走行が義務付けられたが、同通では違反が相次いでいるという。
取材中に違反者は現れなかったが、隊員は「違反した利用者を呼び止めると『自転車の方が速いやん』と言われることがある」と嘆く。御池通には「点滅モード」を知らせる標識もあり、「ルールを守ってほしい」と訴えた。
府警は昨年、自転車と、電動キックボードを含む特定小型原動機付自転車に対し、交通切符や交通反則切符(青切符)交付などの取り締まりを計約5800件実施した。このうちビーユニットは自転車678件、特定小型105件を取り締まった。違反別では、自転車が一時不停止や信号無視、特定小型は歩道通行が多かった。
ビーユニットは啓発にも力を入れている。4月には向日市の商業施設に出向いて、向日町署などが開いた交通安全イベントに参加。来場者に隊の活動を説明しながら、自転車の走行ルールを伝え、質問に答えていた。交通機動隊の西向健副隊長は「取り締まりを受けた人は改めて安全な走行を実践する機会にしてもらいたい」と話した。
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(まいどなニュース/京都新聞)