御子柴詩織さん 昇進したのに、仕事ばかり増えて給料はなかなか上がらない……と、不満を抱えて転職や独立を考えている読者は少なくないだろう。かつて化粧品会社でプレイングマネージャーとしてバリバリ働いていて御子柴詩織さんは、起業してビジネスを軌道に乗せた1人。そんな彼女に、成功の秘訣を教えてもらった。
◆独立起業したことで月収20数万円から80万円に
御子柴さんは、女性の肌をうるおす、うるおい美人漢方の専門家として、講師業やメルマガの配信を中心に活動している。昨年は年商5000万円で、現在の自分の給料は月80万円に設定しているというが、以前は薄給だったと言いこう続けた。
「新卒で入社して15年間勤めていた化粧品会社は、36歳のときに退職しました。退職前の給与は、子育てのために時短勤務だったこともあり、月収11万円程度。27歳くらいから1人目の子供の産休に入る32歳まで、管理職のプレイングマネージャーを勤めていたときも、月収は20数万円で、ボーナスやインセンティブでなんとか生活ができている感じでしたね」
だが、会社に不満があったわけではないそう。
「仕事量に比べてお金はぜんぜんもらっていなかったと思いますが……会社の人もお客様も優しい方が多くて、すごくいい会社でした。私自身のこともちゃんと評価してくれていて、24歳で店長、27歳でプレイングマネージャーを任せてくれたので、やりがいは感じていましたね」
◆会社を辞めて独立を決めた理由は…
御子柴さんが働き慣れた会社を退職しようと思ったきっかけは2つあったと振り返る。
「1つ目は、会社の商品を大切なお客様に自信を持って勧めることができなくなったから。私は子供のころから健康と美容に興味があって、会社の講習とは別に、化粧品の研究や勉強を行っていました。
そうすると、短期間に使う分には問題がなくても、長い目で見ると、体にあまりよくない成分があることがわかってくるんですね。そういったよくない成分が入っている商品を、お客様に勧めることができなくなってしまって……」
2つ目は、御子柴さんの実体験が大きな転機となった。
「最初の出産後は、店長として職場に戻ったのですが、当時の私は白髪が増えて髪はバサバサ、お肌はボロボロでほうれい線が深くなってしまい、仲の良い後輩には『ヤマンバみたい』と言われていました(笑)。
化粧品を販売するのに、このままではまずいと思っていろいろ調べたところ、出会ったのがうるおい漢方でした。うるおい漢方は、漢方の知識を使ってスーパーなどで買える身近な食材で体調を整えるというもので、実践すると髪や肌が改善したうえ、長年悩んでいた冷え性や頭痛、便秘、神経痛なども治ったんですよ」
◆うるおい美人漢方の専門家として独立
うるおい漢方の効果を身を持って体験した御子柴さんは、多くの人たちの悩みを解決できると考えたという。
「長年販売員を続けていると、化粧品だけでは肌が改善しないといった声もよく耳にしていました。当時、扱っていた商品は自然派の化粧品でいいものが多かったのですが、効果にはどうしても個人差がありますからね。
でも、化粧品と併せて、食事で体の中から体調を整えることができれば、健康や美容につながる。私自身、体調や容姿が改善したうるおい漢方なら、悩みを抱えている方たちの問題解決をお手伝いできると考えましたが、そのためには会社を辞めて独立しなければいけないと思い、2人目の妊娠中に準備を進めて36歳で退職しました」
志は高くても、御子柴さんの門出は順風満帆とはいかなかった。
「独立して2年ほどは、年商が80万円ほどだったので、経費を引いたら赤字でした。当時は講座の内容を体験できるお茶会を開いても、集まってくれるのは数人でしたし、講座の契約も1回のお茶会で1人いればいいほうだったので……」
◆オンラインでの集客がうまくいきビジネスが軌道に
御子柴さんの業績が上向く転機となったのは、コロナ禍でオンラインでのお茶会やライブ配信を行うようになってから。
「このままではマズいと思って、オンラインでの集客方法やライブ配信を勉強し、講座の内容なども見直しました。私はそういった知識がほとんどなかったので、最初は苦労しましたが、初めて開催したオンライン体験会に150人以上もの方が集まってくれて。講座も26人もの方に申し込んでもらえて、1回のオンライン体験会だけで50万円以上の売上がありました」
その後、順調に生徒を増やしている御子柴さんは、成功の秘訣を「悩みを抱えている方をきれいにしたいから」と明かす。
「私は自分に自信がなくて、“しゃべりませんね”というあだ名を付けられるくらい無口な子供でした。でも、興味を持った美容の仕事だったら、人前でも話すことができましたし、喜んでもらえるのがうれしくて仕事を続けることができました。新しいことにチャレンジするのは大変ですが、人のために行動すると乗り越えるかもしれません」
【黒田知道】