【ラグビー】求めたのは“新しい血“BL東京の覚悟 ブラックアダーHCが導いたリーグ初2連覇

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2025年06月01日 21:35  日刊スポーツ

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BL東京対東京ベイ 2連覇を達成したBL東京ブラックアダーHC(中央)は歓喜に沸くフィフティーンからの胴上げに笑顔を見せる(撮影・小沢裕)

<ラグビー・リーグワン:BL東京18−13東京ベイ>◇プレーオフ決勝◇1日◇東京・国立競技場◇観衆5万1009人



東芝ブレイブルーパス東京(BL東京、リーグ1位)がリーグワン初の2連覇を達成した。


2季ぶり優勝を狙ったクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ、同3位)に18−13で勝利。前身のトップリーグを含めて7度目の頂点に立った。


   ◇   ◇   ◇  


白髪白ひげがトレードマークのBL東京トッド・ブラックアダー・ヘッドコーチ(HC、53)が国立で3度舞った。リーグワン初の連覇を「チームでやることの信念、向き合う姿勢も、素晴らしい状態で今日までこられた」とかみしめた。


6年前の19年夏に来日した。現役時代はニュージーランド代表「オールブラックス」で12試合出場。主将も担った。イングランドのバースでHCを務めていた同年春、BL東京との初の電話会議が始まりだった。


かつての名門は「新しい血を入れる必要がある」と考えていた。16―17年シーズンから9位、6位、11位。自信に欠けた集団は競り負けが目立ち、東芝の経営危機による採用への影響も相まった。過去のHCは全てが生え抜きだった。


〈1〉リーダーシップの育成


〈2〉勝つ文化


〈3〉マインドセット


チームは3点を求めていた。


フロントも覚悟を持った。当初の契約は2年。1季目はコロナ禍により、わずか6節で打ち切られた。それでも2季目に入る前には、契約延長を伝えた。高木貴裕チームディレクター(TD、38)は「彼は東芝をどうしようかと考えている。地に足をつけてほしかった」とし、目の前の結果への心理的重圧を排除した。


元来タフな集団はメリハリを覚えた。練習場近くのカフェで選手同士がコーヒー片手に語らい、毎週のMVP創設で一体感を育む。愚直な男たちが徐々に意思疎通を密にした。王者として迎えた今季。ブラックアダーHCは、ミーティングで選手に常々伝えてきた。


「王者は、どのチームからも最高のラグビーをぶつけられる。それに勝つために、最高の準備をしよう」


試合後は相手との力関係は度外視。勝利の喜びを最初に共有した。日本代表FB松永は「1つの勝ちを誇らしく思ってくれる」と信頼し、来季も続投の名将は「どんな試合でも、自分たちには新たに学ぶことが必ずある」と未来を見た。


王者は強く、互いを思う集団であり続ける。【松本航】


◆トッド・ブラックアダー 1971年9月20日、ニュージーランド(NZ)生まれ。現役時代はロックなどで活躍し、クルセーダーズやNZ代表の主将を務めた。08〜16年にクルセーダーズのヘッドコーチ(HC)を務め、23年に殿堂入り。イングランドのバースHCを経て、19年から東芝(現BL東京)HC。息子イーサンもNZ代表で23年W杯フランス大会に出場。

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