<ラグビー・リーグワン:BL東京18−13東京ベイ>◇プレーオフ決勝◇1日◇東京・国立競技場◇観衆5万1009人
東芝ブレイブルーパス東京(BL東京、リーグ1位)がリーグワン初の2連覇を達成した。
2季ぶり優勝を狙ったクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ、同3位)に18−13で勝利。前身のトップリーグを含めて7度目の頂点に立った。
元ニュージーランド代表の世界的SOリッチー・モウンガ(31)は試合後に準決勝での右手骨折を明かしながら、1トライ1アシストでプレーヤー・オブ・ザ・マッチを獲得。NO8リーチ・マイケル主将(36)とけん引し、磨き上げたラグビーで5万人超えの観衆を魅了した。
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言葉はいらなかった。
8−6の後半7分、BL東京の自陣左中間スクラム。左サイドのモウンガはパスを投げるふりをし「自分の勘に従った」と瞬時にギアを上げた。快足で2対1を作り、左のWTB森へラストパス。一気のトライで主導権を握った。
5月24日の準決勝神戸戦で右手を骨折。決勝前にボールに触れたのは前日だけだった。3日連続で酸素カプセルに入り「決勝は特別な機会。出ることが不可能じゃないと分かっていた」とほほ笑んだ。
森にも確信があった。
「リッチーを信じて、変にクロスに入らず、外で待っておく」
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今季何度も使ったプレーだった。
前半8分にモウンガのトライで先制したが、8−6と僅差で折り返した。後半もわずか1トライ。それでもラインアウトで競り勝ち、相手自慢のモールを止めた。2連覇の瞬間に小さく右拳を振ったリーチは「粘って、粘って、東芝らしく戦って、最終的に勝ったことがすごくうれしい」と感慨に浸った。
以心伝心を強みとした。
タックルされながらつなぐオフロードパスは、リーグ18試合で12チーム最多229本(Optaデータ)。昨季の1試合平均9・1本から12・7本と大幅に増えた。今季はモウンガらが9月中旬に来日。W杯フランス大会後の新加入だった昨季より2カ月早く、世界的司令塔は秋の鹿児島合宿でFW第1列のプロップ小鍜治にもパスを指導した。味方をサポートするコースや間に連係の深まりが見え、リーチは「1人1人の癖が分かってきた」とうなずく。あうんの呼吸はこの日も強力な防御をこじ開ける武器となり、リーグ最多741得点の攻撃が生まれた。
ノーサイドの笛が鳴り、連覇を祝福するかのように雨が降り注いだ。モウンガは「東芝のことが大好きです。謙虚でみんながハードワークをして、全員が協力して勝つ。その一部となれているのがうれしい」と喜んだ。
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王者である理由は、明らかだった。【松本航】
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