レアル・マドリードのシャビ・アロンソ新監督は成功するか 気になる来季の陣容を予想

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2025年06月02日 07:20  webスポルティーバ

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 今季メジャータイトル無冠に終わったレアル・マドリードは、すでに来季に向けて大きく動き出している。スペインのラジオ局『カデナ・コペ』でレアル・マドリードやスペイン代表の番記者を務めるミゲル・アンヘル・ディアス氏に、新シーズンの陣容やシャビ・アロンソ新監督について記してもらった。

【モドリッチほか、退団する選手たち】

 サンティアゴ・ベルナベウでの最終戦で、カルロ・アンチェロッティとルカ・モドリッチ(※クラブワールドカップ後に退団予定)に涙の別れを告げたレアル・マドリードは、来季に向けてサイクルの変化に直面している。

 トニ・クロースの退団から1年後、未だその傷が癒えていないなか、マドリディスタは13年所属したモドリッチの退団を嘆き悲しむことになった。モドリッチは2026年のワールドカップ前にもう1シーズン、レアル・マドリードでのプレーを望んでいたが、メンバーの若返りを図る方向に舵を切ったクラブは、彼を戦力に含まないという決断を下したのだ。

 まだ公式発表されていないが、ルーカス・バスケスもクラブW杯後にチームを去る予定だ。10シーズン所属し、公式戦400試合出場、22タイトルを獲得した後、下部組織から羽ばたいたクラブでのキャリアに終止符を打つ。アンチェロッティ指揮下で戦力外だったヘスス・バジェホは、クラブW杯を待たずに退団した。

 そして何人かの選手は将来が不透明な状況にある。特にロドリゴは国王杯決勝のクラシコでハーフタイムに交代を命じられた後、一度もピッチに立っていない。クラブは声明をまったく出していないため、ケガをしているのか、精神的なスランプに苦しんでいるのかは不明のままだ。

 シャビ・アロンソ新監督が2トップで戦うことを選択した場合、自身の存在感が薄れるのを懸念しているという。ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティをはじめ、イングランドのいくつかのチームに注目されているため、興味深いオファーが届いた場合、売却される可能性もあるだろう。

 さらに今夏はダビド・アラバとアンドリー・ルニンの将来について多くの議論が交わされると思うが、ふたりとも残留を望んでいる。前者はヒザの手術を受けたことに加え、高額の年俸により、移籍は困難を極める。後者に関してはガラタサライから問い合わせがあったが、ティボー・クルトワの陰として生きるのは容易ではないものの、クラブに留まるつもりだ。

【補強決定&候補の選手たち】

 再起を図るレアル・マドリードにとって、疲弊したDF陣の補強は不可欠である。迅速な動きを見せており、ボーンマスのスペイン代表センターバック、ディーン・ハイセンの加入を正式発表した。長身でありながら、勇敢でエレガントにボールを運ぶ姿が印象的で、3月のオランダ戦で代表デビューを飾り、マドリディスタにすばらしい選手であることを示した。移籍金は5800万ユーロ(約92億8000万円)で、3回に分けて所属元のボーンマスに支払われる。

 リバプールとの契約が満了するイングランド代表の右サイドバック、トレント・アレクサンダー=アーノルドも加入が決定した。クラブW杯に参加する予定である。

"ラ・ファブリカ(レアル・マドリードの下部組織の愛称)"時代、ラウール・アセンシオと一緒にプレーしたベンフィカのスペイン人左サイドバック、アルバロ・カレーラスともすでに合意しており、移籍金は5000万ユーロ(約80億円)程度になる見込みだ。

 さらに、アントニオ・リュディガーとエデル・ミリトンに対するフィジカル面の懸念から、もうひとりセンターバックを獲得する可能性がある。

 DF陣の刷新に続き、中盤の補強を求めるシャビ・アロンソの要望にもクラブは応えようとしている。コモに昨夏移籍したスペインとアルゼンチンの二重国籍を持つ下部組織出身のアルゼンチン代表MFニコ・パスに対し、800万ユーロ(約12億8000万円)の買い戻しオプションを行使するつもりだ。

 しかし、イタリアですばらしいシーズンを送った後で控えに甘んじることを望んでいないため、クラブW杯参加後の8月に、そのまま残留するか、再び移籍するかの話し合いが行なわれることになるだろう。

 クラブはその他にもMFの獲得を検討している。シャビ・アロンソはレバークーゼンで教え子だったドイツ代表MFフロリアン・ビルツを大いに気に入っているが、法外な移籍金が障害となっている。リバプールが1億ユーロ(約160億円)以上で獲得に動くと見られている。

「新たなトニ・クロース」と言われる、シュトゥットガルトのドイツ代表MFアンジェロ・シュティラーも獲得候補に挙がる。一方、同じくシャビ・アロンソのお気に入りだったレアル・ソシエダのスペイン代表MFマルティン・スビメンディは、アーセナル移籍が決定的となった。

 さまざまな候補が挙がるが、レアル・マドリードが巨額の移籍金を投じ、中盤の獲得に動くかどうかは定かではない。さらに、今季終盤すばらしいパフォーマンスを披露したアルダ・ギュレルや、サンティアゴ・ベルナベウでブーイングを受けたことをきっかけに一歩前進したオーレリアン・チュアメニに期待を寄せているため、最終的にひとりも補強しない可能性もあるだろう。しかし、ひとつはっきりしているのは、クロースとモドリッチの去った後、フィジカルの強い選手だけに賭けるのは危険だということだ。

【シャビ・アロンソ新監督とは?】

 レアル・マドリードはクラブ史上最多の15タイトル獲得という偉大な記録を樹立したアンチェロッティの後任を、マドリディスタを大いに興奮させる、若くモダンな監督であるシャビ・アロンソに託すことにした。指揮官としてのキャリアはまだ7シーズン、トップレベルの経験は3年にも満たないが、その手腕は目を見張るものがある。

 特筆すべきはレバークーゼンでの2年目にブンデスリーガを無敗で制し、強豪バイエルンの12連覇を阻止したことだ。さらにカップ戦にも優勝し、ヨーロッパリーグで決勝進出を果たしていた。

 シャビ・アロンソはレアル・マドリードの監督就任会見で、現役時代に指導を受けたジョン・トシャック、ラファエル・ベニテス、ジョゼ・モウリーニョ、ジョゼップ・グアルディオラ、カルロ・アンチェロッティ、ビセンテ・デル・ボスケ、ルイス・アラゴネスなど、すべての監督と良好な関係を築いてきたことを明かしていた。

 これほど偉大な監督たちの下でプレーし、その仕事ぶりを間近で見てきた彼が、監督の道を選ばない可能性は極めて低かった。それでも彼に最も大きな影響を与えたのは、レアル・ソシエダの元選手であり監督も務めた父ペリコ・アロンソであったという。

 シャビ・アロンソは監督就任にあたり、サポーターを再び熱狂させる自信があることを示し、プレーに対して非常に明確なアイディアがあることも強調した。現時点でシステムは未知数だが、レバークーゼン時代の3バックではなく、4バックを選択する可能性が高い。前線はおそらく2枚になるが、彼は汎用性を好むため、対戦相手や試合ごと、さらには試合中にシステムを変えることもある。

【来季のレギュラーは?】

 新加入選手が不透明な状況であることを考慮しつつ、現時点で考えられる先発メンバーは次の通りだ。

 GKはクルトワが不動であり、DFラインはアレクサンダー=アーノルド、ハイセン、リュディガー、カレーラスが並ぶ。

 MFはチュアメニとジュード・ベリンガムがダブルボランチを形成し、右サイドにフェデリコ・バルベルデ、左サイドにギュレルが配置される。シャビ・アロンソはベリンガムの中盤起用を明言しているため、おそらくこれまでよりも少し低いポジションでプレーすることになるだろう。そして新戦力を獲得した場合、ギュレルの位置に入る可能性が十分にある。

 FWはヴィニシウス・ジュニオールとキリアン・エムバペが2トップを組み、前線で自由に動き回る権利が与えられる。

 シャビ・アロンソがまず直面する最も大きな課題は、他のポジションの選手たちと同じようにFW陣にもハードワークさせることだ。懸命に守備をやらせ、走らせる必要がある。

 アンチェロッティはレアル・マドリードでのラストシーズン、「バランス」と「コミットメント」という言葉を何度も口にしたが、最後まで成し遂げられず、失敗に終わっていた。そのためシャビ・アロンソは、期待された効果を得られなった場合、対話での説得を図るか、ベンチから大声を張り上げて厳しく対処するかの、どちらかを選ばなければならないだろう。

 アンチェロッティはクラブの歴史を作り、肩を並べるのが難しいほどの財産を残した。それを引き継ぐ大変な後任候補に何人かの監督の名前が挙がったなか、シャビ・アロンソはマドリディスタにベストの人選だったと好意的に受け止められている。実際、契約を結べる可能性のあった監督のなかで最高の選択肢と言えるだろう。

 なぜならシャビ・アロンソはレアル・マドリードというクラブを熟知し、マドリディスタのひとりであり、成功への意欲と熱意を持つ監督だからだ。彼に今足りないのは、成功を収めるための戦力を得ることだ。アンチェロッティにはそれが与えられていなかった。

 シャビ・アロンソの新時代は希望に満ち溢れ、サポーターの期待も大きいが、その道のりは非常に長い。記者である我々はそれを逐一伝えていきたいと思う。

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