80歳の親が事業に失敗、1000万円の借金を抱えて亡くなってしまいました。私が借金も相続しないといけないのでしょうか?

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2025年06月02日 10:10  まいどなニュース

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借金も相続して返済しなければいけないのでしょうか? ※画像はイメージです(beeboys/stock.adobe.com/)

「80歳の親が事業に失敗し、1000万円の借金を抱えたまま亡くなってしまいました。私が借金も相続しないといけないのでしょうか?」

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親が多額の借金を抱えたまま亡くなってしまい、自分が借金を引き継がなければならないのか、不安な方もいるでしょう。親の借金は、法的な手続きを踏めば、相続せずに済ませられる可能性があります。その手続きの基本的な知識と注意点をみていきましょう。

相続放棄

「相続放棄」とは、亡くなった方(被相続人)のプラスの財産(預貯金や不動産など)もマイナスの財産(借金やローンなど)も、その一切に関する権利や義務を放棄することです。たとえ法律で定められた相続人(法定相続人)であっても、相続放棄の手続きをすれば、法的には「初めから相続人でなかった」ものとして扱われます。つまり、プラスの財産もマイナスの財産も、すべて相続しないことになります。

今回のケースのように、被相続人に1000万円の借金といった多額のマイナスの財産がある場合、相続放棄は有力な選択肢となるでしょう。

借金を引き継がずに済むだけでなく、相続放棄をすると「相続人でなかった」ことになるため、他の相続人との間で遺産をどう分けるかといった話し合い(遺産分割協議)に参加する必要もなくなります。そのため、相続に関する親族間のトラブルを避けたい場合に利用されることも少なくありません。

手続きは、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄をしたい旨を申し立てる書類(相続放棄申述書)と戸籍謄本などの必要書類を提出することで行います。なお、香典や葬祭費、家族が受取人の死亡退職金など、相続放棄をしても受け取れる財産もあります。

限定承認

「限定承認」とは、相続で得られるプラスの財産の範囲内でのみ、借金などマイナスの財産も引き継ぐ相続方法です。通常の単純承認(一般的な相続)の場合、プラスの財産以上にマイナスの財産があった場合でも全額を相続してしまうことになります。限定承認は、そういったリスクに備えるための制度です。

プラスの財産のほうがマイナスの財産よりも多ければ、その差分が残ります。また、たとえ借金の方が多くても、プラスの財産を限度として相続するため、そのプラスの財産以上の分について、返済する必要はありません。

ただし、相続人全員での申し立てが必要で、一人でも反対者がいれば限定承認はできません。また、手続きが複雑で時間もかかりますし、差し引きした結果プラスの財産が残る場合には相続税が発生します。基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた遺産には相続税が発生しますので、注意が必要です。

限定承認は、特定の財産を守りたい場合の選択肢となります。

相続放棄と限定承認の主な注意点とは

相続放棄や限定承認を選ぶ際は、3つの共通の注意点があります。

・「相続があったと知ってから3ヶ月以内」に家庭裁判所へ手続きが必要
・預貯金や借入金など、財産の内容を事前に徹底して調査しておく
・相続財産には勝手に手を付けず、個人的な理由による引き出しや処分は控える

特に、相続財産を処分してしまうなどの行為をすると、相続を認めたこととなり、相続放棄や限定承認の手続きができなくなる恐れがある点に注意が必要です。

   ◇  ◇

親が1000万円という多額の借金を残して亡くなってしまった場合も、相続放棄や限定承認といった手段をとることで借金の相続をしなくて済む可能性があります。

ただし、相続があったことを知ってから3カ月以内の手続きが必要である、相続財産には勝手に手を付けないなど、注意すべき点も少なくありません。

相続開始後3カ月以内に何の手続きも行わなかった場合は、プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け入れる「単純承認」となり、場合によってはリスクを背負うことにもなりますので、スピーディーかつ適切に手続きを進めるためにも、早い段階で弁護士などの専門家に相談すると安心でしょう。

【監修】瀧澤亮(たきさわ・りょう)2級ファイナンシャル・プランニング技能士 Webライター・ディレクター。将来を見据え、保険や年金のことを詳しく知り活用したいとの思いからFP資格取得を決意。現在FP2級を取得し、上位級も勉強中。Webライター・ディレクターとして、お金に関する記事の執筆やディレクション・監修を担当している。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)

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