さいたま地裁=さいたま市浦和区 埼玉県川口市の路上で昨年5月、タクシー運転手に発砲して現金を奪おうとしたとして、強盗殺人未遂などの罪に問われた無職瀬川好一被告(69)の裁判員裁判の初公判が2日、さいたま地裁(江見健一裁判長)であった。被告は「『金を出せ』と言ったことはありません」と述べ、強盗目的について否認した。
検察側は冒頭陳述で、瀬川被告が携帯電話料金や家賃を払えず、金銭的に困窮していたと説明。事件前、ドライブレコーダーの映像の削除方法をインターネットの動画で見るなどしており、「相応の計画性があった」と述べた。
弁護側は「運転手を脅迫しておらず、強盗目的ではない」と反論。運転について注意したが反応がなかったためかっとなり、護身用に持っていた銃を撃ったと主張した。
起訴状によると、瀬川被告は昨年5月29日、川口市内に停車中のタクシー車内で、70代の男性運転手の背後から拳銃を突き付け、「金出せ」などと脅迫。応じなかった運転手の左胸に発砲して現金を強奪しようとし、3カ月のけがをさせたとされる。
瀬川被告は事件後に逃走し、福島市内の知人宅に立ち寄った後、同31日にJR大宮駅(さいたま市)で新幹線を下車したところを確保された。