仲良し兄妹猫の3匹、津波警報が発令されて離ればなれ… 「一生会えないかも」と覚悟→心配そうな顔で待っててくれた

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2025年06月03日 07:20  まいどなニュース

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仲良し3兄妹(左から)シロくん、トラちゃん、クロちゃん(画像提供:またまた一匹増えて五猫(ゴニャン)のぱぱになりました。さん)

穏やかな暮らしのなかで訪れた、小さな命との出会い。Xユーザー・@nyanyahusigiさんのご家庭に迎えられた保護猫の3兄妹。シャムミックスの「シロ」くん(男の子)、キジトラの「トラ」ちゃん(女の子)、ハチワレの「クロ」ちゃん(女の子)は、それぞれの個性をのびのびと発揮しながら、家族とともにかけがえのない日々を紡いでいます。

【写真】「なぁに? 」仲良し3兄妹のシンクロポーズにきゅん

どの子も選べず、気づけば3匹一緒に家族に

2017年9月、猫の保護活動をしている知人から「里親を探している子猫たちがいる」と聞いたことをきっかけに、飼い主さん家族は猫を迎える決意を固めました。猫好きの次女の強い希望もあり、当日は部活で不在の彼女に代わって、飼い主さんと長女が迎える子猫を選びに行くことに。

保護主さんの家には、年齢も性格も異なる猫たちが約10匹。どの子も魅力的で、最初は子猫でも成猫でもいいと思っていたそうです。その中で出会ったのが、保護されたばかりの母猫と生後3カ月ほどの子猫4匹。

「この子たちには何か特別なものを感じました」

保護主さんによれば「今まで多くの猫を世話してきたけど、これほど人を警戒する子たちは珍しい」とのこと。きっと過去に辛い経験をしてきたのだろうと思うと胸が締め付けられる思いがしたといいます。そして、家族として迎えたいと気持ちが決まりました。

日中は家族全員が留守にするため、1匹では寂しさが募ってしまうかもしれないと考え、当初は2匹を引き取る予定でした。しかし、母猫にぴったりくっついて離れなかった1匹はそのまま残ることに。それ以外の3匹のうち、どの子を迎えるか選びきれずーー

「それならもう、3匹全員をうちに!」

見た目から仮でつけた「シロ」「クロ」「トラ」という呼び名は、ひと月経って、すっかり馴染んだのでそのまま正式な名前になりました。

触れられなかった日々

シロくん、トラちゃん、クロちゃんを迎えた当初は、ケージの奥で身をひそめ、家族の姿が見えるとすぐに隠れてしまうほど警戒していました。ある日、掃除中に目を離したすきに脱走。長女の部屋に逃げ込んで籠城し、布団のそばで粗相をしたこともあったといいます。

「少しずつ警戒心を解いていったものの、2カ月経っても触らせてくれず…。それでも、ケージの扉を開けておくと、夜中にそっと外に出て遊ぶようになりました。そして、ついに私たちのそばで警戒しながらもくつろぐ姿を見せてくれるようになったのです」

「その後、3匹はすっかり甘えん坊になり、私たちと一緒に雪深い冬を暖かく過ごしました。保護主さんにそのことを伝えると、わざわざ家まで会いに来てくれたのです。そして、かつてあれほど人を警戒していた子たちが、人懐こく成長したことに感激していました。この子たちの母猫と、シロにそっくりな白猫の母子は、親子一緒に別の里親さんのもとへ引き取られたそうです」

津波警報と避難の夜——命の重みを抱きしめて

2024年1月、能登半島地震が発生。海から数百メートルの場所にある自宅に、3メートルの津波警報が発令された瞬間、頭の中は真っ白になったといいます。

「現実感がなかったんです。まさか自分がこんな体験をするなんて」

帰省中だった娘とともに、「もうこの家には戻れないかもしれない」と覚悟を決め、猫たちを連れて安全な場所へ避難することに。

「とにかく急がなきゃ、と。娘と必死に捕まえようとしましたが、トラとクロは怯えて隠れてしまって…。今行かないと、もう一生会えないかもしれない——その思いで、泣きながら探しました」

引っ掻かれて、牙が手に突き刺さるほどの抵抗を受けながらも、どうしても連れて行きたかったと語る飼い主さん。

「それでも結局、時間切れでした。どうしても2匹は捕まえられなくて。もう待てない、とシロとマロだけ連れて逃げました」

避難先での不安な一夜。娘はずっと泣き続けていたといいます。幸い、津波の被害は免れ、真夜中になって帰宅したとき——

「トラとクロが、心配そうな顔で待っていてくれたんです。その姿を見たとき、涙があふれて止まりませんでした」

この出来事を通して、改めて思ったことがあるといいます。

「いざというとき、どうやって全員を確実に連れて逃げるのか。普段からちゃんと準備しておくべきだと痛感しました。大きな教訓です」

ビビりな岩魚、策略家、シルクの毛——3兄妹の魅力全開

シロくん、トラちゃん、クロちゃんは、現在7歳半。性格も得意技もまったく異なる3兄妹は、それぞれの魅力で家族をメロメロにしています。

大きな体のシロくんは、まさに“岩魚のようなビビり”。知らない人が来ると一目散に隠れ、半日出てこないことも。それでも驚きリアクションは天下一品で、芸人顔負けの愛されキャラです。

「毎朝、私の顔に鼻息を吹きかけて起こしにきます(笑)」

トラちゃんは、食への執着がすごい策略家タイプ。ごはんをつまみ食いしながら全員分の皿をチェックし、最後に落ち着いて自分の食事をスタート。人間の食事中もテーブルのまわりをうろうろ……まったく油断できません。

クロちゃんは、おっとりした甘えん坊。シルクのようななめらかな毛並みをもつ美猫で、そっと寄り添いながら眠る姿には、見ているだけで心が癒やされるそうです。

「この子たちを迎える前は、動物、ペットと暮らすという感覚だったように思います。でも、一緒に暮らすうちに、その認識は大きく変わりました。今では、人と変わらない家族の一員として接するように。それぞれ性格が異なりますし、この子たちも自分を人間だと思っているのではないかと感じることが多々あります」

シロくん、トラちゃん、クロちゃんとの暮らしは、笑いが絶えず、家庭に明るさをもたらしています。「本当に飽きませんね」と飼い主さんは語ってくれました。

「新築のようにきれいだった家は、今ではすっかり様変わりしました。子どもと『しかたないよね』と笑っています。この子たちと暮らす毎日が家族にとってかけがえのない幸せ。この子たちとの不思議な出会いに感謝しています」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

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