サッカー日本代表で久保建英と相性がいいのは? 「若手のリーダー役」が選手の成長を促す

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2025年06月03日 07:20  webスポルティーバ

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「(久保建英は)日ごろから(チームで)リーダーの立ち振る舞いをしてくれていますが、今回は特に新たに入る選手たちのリーダー役になってもらえればと思っています」

 6月5日のオーストラリア戦、10日のインドネシア戦に向け、日本代表を率いる森保一監督はそう語り、久保建英について「リーダー的存在」を求めているという。

 では、久保がリーダーとしてプレーしやすいのは、どんなチームメイトか。もし彼に相応の役割を求めるなら、それも考慮に入れるべきだろう。三笘薫と並んで、久保はそこまでの高みに辿り着いているのだ。

「コンビネーションを高められるか」

 それが久保と相性のいい選手の第一条件となるだろう。コンビネーションとなる素養としては、ビジョンの広さ、判断力、スモールスペースでのテクニック、そして左利きであることなどが挙げられる。ワンツーやフリックなど即興的プレーで相手を切り崩し、あるいはおとりになってくれることで、個人技術も余すところなく出せるのだ。

 その点でレアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)の1年目は、まさに理想の布陣だった。

 ダビド・シルバという天才レフティーがいたことで、久保は2トップの一角でプレーしていた。ふたりのコンビだけで、鮮やかにラインブレイク。トップにも左利きで高さがあり、ポストプレーに長けるアレクサンダー・セルロートがいた。インサイドハーフには左利きのテクニシャン、ブライス・メンデス、同じく左利きでスペースに入ってゴールを狙えるミケル・メリーノ、最高レベルのプレーメイカー、マルティン・スビメンディも擁していた。

 それはダビド・シルバという別格レベルのテクニシャンがいてこそ成立した布陣だったが、久保が左利きの選手と調和を見せることは間違いない。ただ、日本には有力な左利き選手が限られており、代表で多くの人材は望めないだろう。左サイドバックという、本来は左利きがマストのポジションさえ、すでに力が衰えた長友佑都を選出するほど人材を欠く有様なのだから。

【監督が"仕組み"を用意する必要も】

 もっとも、久保は現代表の主力との相性は悪くない。たとえば守田英正とのパス交換は有効だろう。ただ、これまでの久保はリーダーと言えるほど役割を託されてこなかったこともあり、コンビネーションは最大限には高まっていない。鎌田大地とは同じピッチに立てないことが多かったが、ふたりのビジョンは共通するはずで、連係の精度をもっと上げるべきだ。

 システムの問題も否めない。久保自身は、森保一監督が好む3−4−2−1でも適応し、ベストを出せるはずだが、この仕組みを動かすには、相応の人材が必要になる。1トップのストライカーには高く、強く、速く、うまい選手が必須。ウイングバックには爆発的な走力とサイドバックから派生した攻撃性を持っている選手が左右ともに不可欠である。

 残念ながら、日本にはこのレベルの選手が決定的にいない。近い仕事はできても、他のシステムのほうが生きるだろう。

 また、3バックには、3人で守れるような屈強さとスピード、それにビルドアップのうまさ(たとえば、ひとりでボールを持ち上がれたり、60メートル級のサイドチェンジができたり......)が求められる。

 久保のベストは、右サイドを出発点に、自由に動くスタイルだろう。ベストのポジション、システムにおいて最高のプレーも引き出される。そのためには、まず監督が然るべき"仕組み"を用意することだ。

 では今回、新たに招集された熊坂光希(柏レイソル)、鈴木淳之介(湘南ベルマーレ)、俵積田晃太(FC東京)、佐藤龍之介(ファジアーノ岡山)、佐野航大(NEC)、三戸舜介(スパルタ)、平河悠(ブリストル・シティ)と7人の選手で、久保のプレーを高めるような選手はいるだろうか?

 率直に言って、実力が違いすぎる。カテゴリーでいえばひとつではなく、ふたつ、三つ違う選手ばかり。久保が先を進みすぎているのだ。ただ、久保が彼らの実力を引き出すことはできる。まずは、彼らが自分と久保の何が決定的に違うかを観察することから始まるだろう。その違いすら確認できない選手は問題外だ。

 その点で、従来の主力を除いて、久保に力を引き出してほしいのは、今回のメンバーでいえば佐野海舟(マインツ)、渡辺剛(ヘント)、関根大輝(スタッド・ランス)の3人か。

 2026年W杯、日本代表が未踏のベスト8に勝ち抜くには、少なくとも5試合を戦わなければいけない。短期決戦で一度はスタメンを入れ替えないと持たないだろう。そう考えると、遠藤航のバックアッパー探しは急務で、佐野は攻守に安定した力を示しており、有力候補だ。

 センターバックは冨安健洋の出場が危ぶまれるなか、ベルギーで経験を積んだ渡辺に期待したいところだ。右サイドバックは菅原由勢が有力だが、関根の高さは魅力でスケール感もある。フランス杯決勝ではブラッドリー・バルコラ(パリ・サンジェルマン)に手も足も出なかったように発展途上だが......。

 久保が彼らとプレーすることで、成長の触媒になるはずだ。W杯本大会に向けては、オーストラリア、インドネシア戦も悠長に"消化試合"にしている場合ではない。

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