ドミニオンの血をもつクロワデュノール(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい!血統表でよく見る名馬
【ドミニオン】
パース賞(仏G3・芝1600m)、バーナードバルークH(米G3・芝9ハロン)を含めて通算48戦14勝。英仏独米と国境をまたいでタフに走り続けました。英2000ギニー(G1・芝8ハロン)では3着と健闘しています。
父デリングドゥーは、イギリスでクイーンエリザベスII世S(現G1)を勝ったマイラー。種牡馬としてはドミニオンの他にハイトップ(英2000ギニー)、ハンターコム(本邦輸入種牡馬。皐月賞馬ダイナコスモスの父)を出しました。
ドミニオンは種牡馬として成功。ファーストアイランド(英G1サセックスS、英G1ロッキンジS)、エンブラ(英G1チェヴァリーパークS)など多くの重賞勝ち馬を出しました。優れたスピードと仕上がりの早さを武器とし、1984、85年に英愛2歳種牡馬チャンピオンとなっています。何頭かの後継種牡馬のうち、リッチモンドS(英G2・芝6ハロン)など4つの短距離重賞を勝ったプリモドミニーが成功しました。ドミニオンを母の父に持つ馬にはゼンノエルシド(マイルCS)がいます。
ドミニオンの仔ノミネーションは、後の名種牡馬グリーンデザートを破ってリッチモンドSを快勝。引退後、種牡馬となったものの、まったくの失敗に終わりました。しかし、娘のウッドライジングがライジングクロス(英G2パークヒルS、英オークス2着、愛オークス3着)を産み、ライジングクロスはわが国に輸入され、キタサンブラックとの交配でダービー馬クロワデュノールを産みました。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「現3歳世代限定のJRA種牡馬ランキングの首位は?」
2022年生まれのサラブレッドは、昨年6月の新馬戦からデビューし、先週の日本ダービーまで丸一年走り続けました。その間、JRAで39レースの重賞を消化し、7頭のGI馬が誕生しました。
この世代限定のJRA種牡馬ランキングは以下のとおり(JBIS集計)。
1位 キズナ
2位 キタサンブラック
3位 エピファネイア
4位 ドゥラメンテ
5位 サートゥルナーリア
日本ダービー終了時点の集計ではキズナが2年連続の首位です。GI馬こそ出していませんが、サトノシャイニング、エリキングなど7頭の重賞勝ち馬を出し、安定した強さを見せつけました。このランキングには反映されませんが、南関東に遠征して羽田盃(JpnI)と京浜盃(JpnII)を圧勝したナチュラルライズもキズナ産駒です。JRA限定ではなく地方競馬を合わせた総合種牡馬ランキングではさらに差が開きます。
2位キタサンブラックはダービー馬クロワデュノールの父。1位キズナが62勝したのに対し、わずか29勝で2位となったのは、クロワデュノールがクラシック戦線の高額賞金レースで活躍したことが効いています。
3位エピファネイアはジョバンニ、エリカエクスプレス、ヤンキーバローズ、4位ドゥラメンテはマスカレードボール、エネルジコ、5位サートゥルナーリアはショウヘイ、ファンダムが活躍しました。