
さまざまな人がお互いに関わりを持ちながら暮らしている現代社会では、人の「本当の顔」を知る機会は少ないかもしれません。普段は目立たない存在だったり、頼りなさそうに見えたりする人が、ふとしたきっかけで全く違う一面を見せることもあります。
そんな「人は見かけによらない」と実感させてくれるエピソード『ニヤリとする話』をSNSに投稿したのは富久多まさ春さんでした。この実体験をもとに描いた作品は多くの人の共感を呼んでいます。
職場で叱られてばかりの田口さんは、前の部署ではいじめに遭い異動してきたばかり。ヘルプという形で配属され、主人公のフクタさんとは5カ月ほど仕事を一緒にしています。
その部署では1番の年長者だったにも関わらず、業務は初心者だったため厳しい指導が入ることもしばしば。フクタさんは田口さんについて、孫もいるのに若い人に怒鳴られて気の毒だと思っていました。
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そんなある日、田口さんが真っ黒に日焼けして出勤してきます。驚いたフクタさんはインターネットで田口さんの名前を調べ始めます。
すると驚くべきことに、田口さんは60歳以上のレジェンド部門大会で優勝するほどのボディビルダーだったことが判明。会社の顔とは全く違う、生き生きとした表情に「この人大丈夫だわ」と安心するフクタさんでした。同作について、作者の富久多まさ春さんに話を聞きました。
普段の姿からは到底想像がつかない田口さんの普段の様子は?
ー田口さんとは普段から話をする仲だったのでしょうか?
一度、定時後に社員駐車場まで田口さんと一緒に歩きながら話をしたことがありました。その時は僕の部署での仕事のこと、前の部署で人間関係のことで諸々あったことなどを話しました。残念ながらプライベートな話はほとんどしたことがなく、完全に仕事だけのお付き合いでしたね。
ー黒くなった田口さんを見て、どのように思われましたか?また周りは何か反応していたのでしょうか?
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その時は、この土日休みにレジャーでも楽しんだのかな?という︎くらいでした。周りの人も同じことを思ったようで、田口さん本人に聞くことはなかったようですし、僕も聞くことはありませんでした。
ただあの黒光りした顔が気になって気になって他の先輩社員の方に話したところ、「ネットで調べてみたら?」と言われ、田口さんの真の姿を知りました!ごく一部の人はボディビルダーだということを知っていたようです。
ー会社での姿とボディビルダーとしての姿とのギャップに気づいた瞬間、どんな気持ちになりましたか?その後の田口さんに対しての感情の変化なども聞きたいです!
ネットで田口さんのボディビルダー姿を見た時は、ただただビックリ!意外!でした。いわゆる細マッチョで服を着ているとまったく気づかなくて、、、。会社の顔とプライベートの顔のギャップに完全にやられました(笑)
それほどの肉体を造るのにはかなりのストイックさが必要でしょうし、精神面でも強い方だということも分かりました。会社の制服の下に強い鎧をまとっている、、、このことは田口さんには伝えず、密かにニヤリとしていましたね。
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この出来事があってまもなく、年齢的な理由で田口さんは退職されました。今でもふと田口さんと一緒に仕事をしてた時のことを思い出すことがあります。あの時は助けていただいてどうもありがとうございました。感謝しています!と伝えたいです。
(海川 まこと/漫画収集家)