
静岡県を拠点に行き場を失ったワンコを救い、幸せへとつなぐ活動を続けてる保護団体・アニマルフォスターペアレンツ。団体のもとには様々なバックボーン持つワンコが保護されていますが、一定数いるのが元繁殖犬です。
保護までのプロセスは様々ですが、とある経緯からブリーダーから直接引き取ったヨークシャーテリアの6歳のメスのワンコがいました。
ブリーダーによれば「繁殖を引退した」と聞いていたため、団体では「綺麗な体にして、幸せな第二の犬生へと繋いであげよう」と当初考えていました。そこで、まずは汚れて縮んだ被毛を綺麗に……と、懇意のサロンでトリミングとシャンプーをお願いしました。
しかし、ここでトリマーさんから思わぬ言葉を聞かされました。
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「この子、お腹が大きいのでは?」
「2〜3週間後には生まれます」
団体メンバーは「ブリーダーが妊娠中のワンコを手放すわけがない」と思いました。なぜなら生まれてくる赤ちゃんも「商品」になりうる可能性があるからです。その善悪はさておき妊娠の疑いがあると聞けば、放っておくわけにはいきません。
さっそく動物病院へと連れて行き検査してもらうと、結果はトリマーさんの直感通りの妊娠中。
エコーにはモゴモゴと動く赤ちゃんに様子が映し出されていて、さらに「2〜3週間後には産まれます」という診断でした。
自然分娩で無事に元気な2匹の赤ちゃんを出産
団体で過去に保護したワンコのうち、「野犬が出産した」というケースはありましたが、ヨークシャーテリアのような小型犬の出産は初めて。しかもそのお腹には、過去の出産時の帝王切開の跡もあり不安もあります。
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そのため、懇意の別の獣医師に相談をすると、「無事に出産するまで預かりますよ」という心強い言葉をもらえました。このヨークシャーテリアに陣痛が来た際に「自然分娩」か「帝王切開」かを適切に判断しお産を促すと言ってくれ、ひとまずは安心しました。
それから2週間後。獣医師の適切な対応によって、ヨークシャーテリアは自然分娩で無事に2匹の子犬をこの世に生みました。そして、心配だった母犬も健康状態に異常がなく元気。本当に良かったです。
いつの日か親子全員で再会できると良いね!
生まれてまもなく2匹の子犬に人間が触れようとすると、母犬は烈火の如く怒ることがありましたが、これは動物の本能でしょう。やがて、落ち着きを見せると、人間が抱っこしても怒ることなく「私の赤ちゃん、かわいいでしょ?」と言わんばかりに笑顔を見せてくれるようにもなりました。
そして、2匹の子犬はその後もスクスクと成長し、その過程の中できょうだいでも微妙に違う性格も見せ始めるようになりました。
2匹の子犬の成長と合わせて、母犬へ避妊手術を実施。母子ともに「ずっとのお家」を掴むことができ、今ではそれぞれ幸せな第二の犬生を送っています。
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いつの日か成長を重ねた際に、親子みんなで再会し、幸せ自慢をし合える日がやってくると良いなと思いました。
(まいどなニュース特約・松田 義人)