「100円ライターのように使い捨てられ…」年収200万円、就職氷河期53歳男性が語る「バイトテロ」への複雑な思い

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2025年06月04日 06:20  キャリコネニュース

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バブル崩壊後の1990年〜2000年代は「就職氷河期」と呼ばれ、求職者に対して求人数が異様に少なく、有名大学の学生でもなかなか就職できなかった。40、50代になった現在もなお、満足のいく収入を得られていない人たちがたくさんいるようだ。

岐阜県在住の53歳の男性(事務補助職員/年収200万円)から、数々の理不尽な体験が寄せられた。1997年卒業の男性はまず、「在学中20社程応募しましたが全滅」と、過酷な就職活動を振り返った。

その後、地方の小さな企業に職を得たものの、そこからが苦難の連続だった。(文:天音琴葉)

「兎に角、勤める先々で社内政治に振り回され、100円ライターのように使い捨てられ、回された中で、よく死なずに生きてこれたな、というのが今の感想です」

「お前の代わりは幾らでも居る」浴びせられた心無い言葉

なんとか就職できたものの、サービス残業や有給休暇の取得自粛が常態化する、いわゆるブラック企業だった。しかし男性は「サビ残有給自粛等は気になりません」とし、それ以上に耐え難かったのは、人間としての尊厳を踏みにじられることだったという。

「ほとんどの転職先で尊厳をへし折られるのが本当に辛かったです。『お前の代わりは幾らでも居る』『嫌なら辞めろ』行く先々で言われました」

当時は求人数に対し、応募者数が大きく上回る買い手市場だった。読者の中にも、似たようなことを言われたことがある人はいるだろう。

「それ見た事か! と声を大にして言いたいですね」

虐げられた労働者の中には、怒りの矛先を企業、延いては社会に向ける人がいるのではないか、と当時30代だった男性は憂いていたそうだ。現在、世の中でそれが現実になっていることに、複雑な感情を抱いている。

「30代の当時、ネット等で『バイトテロ』『マイクロテロ』『サイレントテロ』等の新型テロリズム対策を真剣に検討した方が良い、という声を無視、嘲笑していた大多数の連中が今、まさにそれらが原因で狼狽えている現実に、それ見た事か! と声を大にして言いたいですね」

アルバイトが職場での不適切な行為をSNSなどに投稿する「バイトテロ」は、非正規中心で職場を回すようになったからだと言われることが多い。一方で、男性が指摘する「サイレントテロ」は、ネット上で使われている言葉だ。必要最低限の仕事しかしない「静かな退職」や、ほかにも「子どもをつくらない」「独身で趣味を満喫」、さらには「消費しない」「働かない」といった、社会に対する静かな抵抗も「サイレントテロ」に含まれるようだ。

就職氷河期世代は長年、個人の問題であり、自己責任であるとして放置されてきた。だが彼らは団塊世代に続く人口のボリュームゾーンで、50代に突入した人も多い中、今や企業を揺るがす問題として認識されつつある。

※キャリコネニュースでは「氷河期世代の受難」をテーマに投稿を募集中です。回答はこちらから。https://questant.jp/q/QL67X1YI

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