【サッカー日本代表】森保監督の鼻を明かすのは誰だ W杯の成績に直結するパリ世代の台頭

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2025年06月04日 07:30  webスポルティーバ

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 これまで続いてきた森保一監督の"ベストメンバー主義"を考えれば、異例の若返りと言っていいだろう。

 6月のワールドカップ最終予選に臨む日本代表メンバーの多くに、"パリ世代"の選手が選ばれた。

 パリ世代とは、パリ五輪出場の年齢資格を満たす選手、すなわち2001年以降生まれの選手たちである。今回日本代表に選ばれた27人のうち、過半数の14人もがこれに該当する。

 そこには、すでにチームの主軸となっている鈴木彩艶と久保建英も含まれているが、彼らふたりを除いても12人。これまでパリ世代の登用が遅々として進まなかったことを思えば、突然の急増である。

 そのなかのひとり、佐藤龍之介は2006年生まれの18歳だから、パリ世代どころか、次回ロサンゼルス五輪に出場できる"ロス世代"になるのだが、細かな世代分けはともかく、若手の選出が相次いだことは間違いない。

 佐藤を含めた、うち7人はA代表初招集。国内外を問わず、所属クラブでのパフォーマンスが評価されての吉報となった。

 過去のワールドカップを振り返ると、日本代表が好成績(グループリーグ突破)を残すためには、直近の五輪に出場した世代の台頭が欠かせないことは、データが証明している。

 2002年大会では、2000年シドニー五輪に出場した稲本潤一、明神智和ら、2010年大会では2008年北京五輪に出場した本田圭佑、長友佑都ら、2022年大会では2021年東京五輪に出場した三笘薫、堂安律ら、といった具合だ。

 それにならえば、パリ世代の台頭が、来年のワールドカップでの成績に直結すると言っても大げさではない。

 とりわけ、実際にパリ五輪の舞台に立ち、スペインに0−3の完敗を喫するという悔しい経験をした選手たちには、捲土重来を期待したい。

 特に藤田譲瑠チマは、これまでも日本代表に選ばれてきたが、なかなか出場機会が得られずにいる。彼のプロフィールに記された国際Aマッチ出場2試合という記録も、日本代表が国内組だけで参加した2022年E-1選手権でのものなのだ。

 だからこそ、「思いとしては全員を(試合で)使ってあげたい。その状況に合わせて、できるだけ多くの選手にプレーしてもらう」(森保監督)というこの機会に、これまでためてきた鬱憤を一気に晴らしてほしいところだ。

 とはいえ、現実的に考えれば、パリ世代の大量招集は"繰り上げ当選"の印象が色濃い。

 実際、メンバー発表の席上でも、森保監督はあたかも今回選ばれたメンバーと、従来の主力メンバーとの差を強調するかのように、こんなことを話している。

「これまで選んでいるコアな選手の壁は厚いと思うが、自分が成長しながら高い壁に向かって、ハングリー精神を持ってチャレンジしてもらいたい」

「これから先のことも見据え、チーム力を上げるためにも勝利にこだわりながら、選手一人ひとりの成長の促しになるように。選手の成長がチームの大きな成長につながるように」

「若い選手、経験の浅い選手が今回多く選出された。今持っている力でも国際舞台で戦っていけるだけの力があると思うが、この活動を通して、さらなる成長をし、経験を積んでもらいたい」

 つまりは今回、パリ世代を中心としたニューフェイスを数多く加えたのは、あくまでも彼らの成長を促すためのものであり、すぐに"真の日本代表"に加われるとは考えていない。そんな胸の内が透けて見えるような言葉が、何度も聞かれたのである。

 もちろん、そうした考えがまったくの見当違いだと、否定することは難しい。

 これほど多くの日本人選手がヨーロッパのトップリーグでプレーし、しかも、ふた桁ゴールを記録する選手が何人も現われるなどという事態は、日本サッカー史において前例がない。つまり、あとを追う者にとって彼らの存在は、森保監督が言うように厚い壁なのである。

 しかし、だとしても、いつ誰がケガをするかはわからないし、所属クラブで出番を失い、調子を落とす選手が出てこないとも限らない。言い換えれば、現在の日本代表の多くが、それだけ厳しい世界に身を置いているのである。

 だからこそ、日本代表は常に新陳代謝を図り、次なる準備をしなければならない。

 確かにコアな選手の壁は厚いが、本当の勝負は1年後だと考えれば、その間の伸びしろという点で分があるのは、むしろパリ世代のほうだろう。

 特にフライブルク移籍が決まった鈴木唯人をはじめとするヨーロッパ組は、日本とは異なる環境で成果を残し、さらなるステップアップを果たした。あるいは、そのきっかけを作った選手たちばかりである。

 パリ世代にようやく巡ってきた大きなチャンス。指揮官の鼻を明かす活躍を楽しみにしたい。

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