限定公開( 2 )
静岡県沼津市を舞台にしたアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』は、放送終了からしばらく経っているにもかかわらず、依然として人気が衰えず、新たなファンを獲得し続けている名作である。記者は日本各地にあるアニメの“聖地”を訪問しているが、盛り上がりの継続という意味では沼津が一番だと考えている。
「出発進行!」の合図を行う逢田梨香子さん、鈴木愛奈さん、JR沼津駅の小宮山学駅長。
沼津の玄関口であるJR沼津駅に降り立った瞬間から、『ラブライブ!サンシャイン!!』の世界に浸ることができる。駅そのものが作中に登場する聖地になっているだけでなく、駅の構内にはキャラのポスターや等身大パネルが設置されているのだ。そして、キャラの誕生日となれば、駅はもちろん、町を挙げて誕生日を祝う光景がみられる。こうした取り組みが長く継続している地域は非常に珍しい。
5月21日には、桜内梨子の声を演じる逢田梨香子さんと、小原鞠莉の声を演じる鈴木愛奈さんが、JR沼津駅の“一日駅長”に任命された。JR東海が6月2日から『ラブライブ!サンシャイン!!』とコラボした「ラブライブ!サンシャイン!!沼津ゲキ推しキャンペーン!」を開催するにあたって実施された企画だ。『ラブライブ!サンシャイン!!』の声優が一日駅長を務めるのは、今回で3回目である。
JR東海のキャンペーンも気合いが入っている。今回は東海道新幹線車内限定で、コラボ楽曲『僕らの旅は終わらない』のリリックビデオのショートバージョンを配信するほか、JR沼津駅の社員が作成した“『ラブライブ!サンシャイン!!』10周年記念クイズ”が楽しめるなど、かなり充実した内容となっている。もちろん、沼津の風物詩となっている駅の装飾や構内放送も健在であり、駅のスタッフが一体となってファンを迎える体制が整っている。
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JR沼津駅構内のベルマートキヨスクは、「ここはアニメショップ!?」と思ってしまうほど『ラブライブ!サンシャイン!!』のグッズがいっぱい。店のスタッフが描いたであろう、手描きのヨハネとルビィちゃんのイラストがとてもかわいい。
そして、とにかく地元の店の作品愛が深いのも沼津の特徴である。アニメにも登場する「つじ写真館」はキャラを描いた黒板アートで有名で、ファンが一度は訪れる名所となっている。つじ写真館があるあげつち商店街は“堕天使ヨハネ”こと津島善子が住む町としても知られ、洋菓子店の「グランマ上土本店」ではキャラをイメージしたスイーツ“リトルデーモン”が名菓となっているし、「沼津リバーサイドホテル」では津島善子の誕生祭と称したイベントが毎年行われている。
沼津市内には聖地が点在しており、それらを巡るだけでも充実した観光が楽しめる。宿泊施設が聖地になっているのも大きな魅力で、高海千歌の実家のモチーフになったのは太宰治ゆかりの宿として有名な「安田屋旅館」、一日駅長を務めた鈴木愛奈さんが演じる小原鞠莉の実家のモデルになったのが「淡島ホテル」である。なかでも、淡島ホテルはファン同士が結婚式を挙げた例も多く、一度は泊まりたいホテルとして人気が高い。
「リアルサウンドブック」では過去に、キャラクターデザインを務めたアニメーターの室田雄平氏にインタビューを行っている。市内には室田氏のほか、監督の酒井和男氏のサイン色紙が展示されたスポットもあり、やはり聖地化している。沼津の関係者は作品をしっかり視聴しており、作品とアニメスタッフをリスペクトしながら様々なプロジェクトに取り組んでいるのが印象的だ。これが、沼津の盛り上がりが継続している大きな要因ではないだろうか。
(山内貴範)
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