三笘薫、久保建英、佐野海舟、鈴木彩艶...欧州サッカーで今季活躍した日本人選手をランク付け

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2025年06月04日 10:30  webスポルティーバ

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欧州サッカー今季活躍した日本人選手トップ10 

 今季の欧州サッカーシーンで奮闘した数多くの日本人選手たち。そのなかで特に活躍が目立ったのは誰だっただろうか。識者3人それぞれにトップ10を選んでもらい、意見を聞いた。

>>前編「デンベレ、サラー...欧州サッカーで今季もっとも活躍した選手は?」

【鈴木彩艶は、日本のGKの歴史を大きく変えた】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

欧州サッカー今季活躍した日本人選手トップ10 
1位:三笘薫(ブライトン) 
2位:鈴木彩艶(パルマ) 
3位:南野拓実(モナコ) 
4位:堂安律(フライブルク) 
5位:佐野海舟(マインツ) 
6位:中村敬斗(スタッド・ランス) 
7位:町野修斗(キール) 
8位:久保建英(レアル・ソシエダ) 
9位:前田大然(セルティック) 
10位:田中碧(リーズ)

 今シーズンのヨーロッパサッカーで最も活躍をした日本選手を選ぶなら、ブライトンの三笘薫になる。世界最高峰のプレミアリーグでキャリアハイの10ゴールを叩き出し、ジョアン・ペドロ、ダニー・ウェルベックと並んでチーム内得点王に輝いたことは、三笘自身の進化の証と言える。

 特に今シーズンは左サイドでのドリブル突破に加え、中央エリアでのプレーが目立ち、プレーのバリエーションを増やした印象だ。チームが来季のヨーロッパカップ出場権を逃したとはいえ、ヨーロッパでプレーする日本選手の先頭を走っている。

 セリエAの舞台で正GKとしてシーズンを通して活躍したパルマの鈴木彩艶は、日本のGKの歴史を大きく変えたという意味も含め、高く評価されるべきだろう。過去にもヨーロッパでプレーした日本のGKは存在したが、守備の国イタリアで日本のGKが認められたこと自体がエポックメイキング。今後のキャリアアップは確実で、今夏の動向は要注目だ。

 モナコの南野拓実は、ゴール数こそ昨季を下回ったが、チャンピオンズリーグ(CL)の舞台でも3ゴールを記録してグループフェーズ突破に大きく貢献したほか、来季のCL出場権獲得の原動力となった点を高く評価したい。とりわけ終盤の大一番となったマルセイユ戦とリヨン戦で決めた先制ゴールは、チーム内における南野の存在価値を大きく高めることとなった。

 フライブルクをヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得に導き、自身初の二桁ゴールを記録した堂安律と、ルーキーイヤーながらレギュラーの座を守り続けて持ち前のボール回収力に磨きをかけたマインツの佐野海舟のふたりも、特筆すべき活躍を見せた日本選手として数えられる。堂安は今季の活躍により、ステップアップ移籍の可能性が高まっている。

 中村敬斗と町野修斗は、チームが降格という不運に見舞われたなか、個人としてリーグ戦11ゴールを記録。久保建英もチームが不振に陥ったなかで孤軍奮闘。ゴール数を年々減らしているが、パフォーマンス自体は上々だった。また、CLでの4ゴールも含めて公式戦33ゴールを量産してリーグ年間MVPに輝いたスコットランドの前田大然と、主軸としてリーズのプレミアリーグ昇格に大きく貢献した田中碧も、充実のシーズンを過ごした。

 なお、プレミアリーグ優勝に貢献したリバプールの遠藤航と、同じくFAカップ優勝を果たしたクリスタル・パレスの鎌田大地は、それぞれ価値ある任務を遂行したが、出場時間が少なかったために次点とした。

【チームの中心として結果を出した前田大然、田中碧】

西部謙司(サッカーライター)

欧州サッカー今季活躍した日本人選手トップ10 
1位:前田大然(セルティック) 
2位:田中碧(リーズ) 
3位:三笘薫(ブライトン) 
4位:久保建英(レアル・ソシエダ) 
5位:佐野海舟(マインツ) 
6位:鎌田大地(クリスタル・パレス) 
7位:中村敬斗(スタッド・ランス) 
8位:守田英正(スポルティング) 
9位:町田浩樹(ユニオン・サンジロワーズ) 
10位:南野拓実(モナコ)

 セルティックのスコットランドリーグ4連覇に貢献、プロサッカー選手協会(PFA)の年間最優秀選手賞を受賞した前田大然。韋駄天ぶりを遺憾なく発揮し、公式戦49試合33ゴールと活躍した。

 田中碧はリーズの2部リーグ優勝の原動力となり、チームの年間最優秀選手に選出された。MFとして攻守に不可欠のプレーぶり。

 チームの中心として結果を出したふたりを1、2位とした。3位はチェルシー戦での神業トラップからのゴールが絶賛された三笘薫。年間最優秀ゴールに選出したメディアも多かったが、プレミア公式ではマンチェスター・シティのオマル・マルムシュの得点が受賞している。

 傑出したプレーでレアル・ソシエダの攻撃を牽引した久保建英。しかしチームはリーグ11位にとどまった。来季は移籍の可能性が高そうだ。

 佐野海舟はマインツで抜群の運動量とデュエルの強さを発揮。第二の遠藤航となっている。

 FAカップ優勝の快挙を成し遂げた鎌田大地を選ばないわけにはいかないだろう。日本で廃藩置県が行なわれた年(1871年)に始まった伝統のカップ戦で、日本人選手が決勝にフル出場しての戴冠は歴史的な出来事。クリスタル・パレスにとっても初のタイトルだった。

 チームは2部へ降格してしまったが、スタッド・ランスでの中村敬斗の奮闘は光っていた。終盤戦は徹底守備の戦い方のなか、守備タスクをこなしながら持ち前の得点力を発揮した。

 スポルティング連覇に貢献した守田英正、ベルギー・ディビジョンA優勝のユニオン・サンジロワーズで守備の要だった町田浩樹。リーグタイトルはパリ・サンジェルマンの独走でノーチャンスだったが、3位でCL出場権を獲得したモナコで貢献した南野拓実も選出した。

 選外になってしまったが、渡辺剛(ヘント)、堂安律(フライブルク)、板倉滉(ボルシアMG)もコンスタントな活躍ぶりだった。

【1番手と2番手は三笘薫と久保建英で変わらない】

杉山茂樹(スポーツライター)

欧州サッカー今季活躍した日本人選手トップ10 
1位:三笘薫(ブライトン) 
2位:久保建英(レアル・ソシエダ) 
3位:鈴木彩艶(パルマ) 
4位:鎌田大地(クリスタル・パレス) 
5位:田中碧(リーズ) 
6位:南野拓実(モナコ) 
7位:堂安律(フライブルク) 
8位:前田大然(セルティック) 
9位:佐野海舟(マインツ) 
10位:町野修斗(キール)

 欧州サッカーにはCLを頂点としたヒエラルキーがある。続くは欧州ランク1位のプレミアリーグで、続いてスペイン、EL、イタリアがくる。さらにはドイツ、フランス、ポルトガル、オランダと続くわけだが、難しいのはイングランド2部(チャンピオンシップ)の扱いだ。

 ドイツ、フランスといい勝負ではないかと判断し、同リーグ優勝に貢献した田中碧を5番目に持ってきた。昇格プレーオフで敗れたコベントリー所属の坂元達裕は次点とした。またプレミアで12位だったクリスタル・パレスの鎌田大地は、出場時間は全時間の半分弱に終わったが、舞台のレベルを考慮すると上位に推したくなる。

 キールで11ゴールを挙げた町野修斗は、チームが弱かったことを踏まえると価値が増す。チームは降格の憂き目に遭ったが、町野は孤軍奮闘。町野自身の底は割れなかった。むしろ可能性を膨らませた。来季どこに移籍するか。

 ブレイクした1番手は佐野海舟だ。マインツで出場した時間は3044分。これは今季出場したブンデスリーガ全選手のなかで、なんと5番目の数字に当たる。フィールドプレーヤーでは3番目だ。代表に選ばずにはいられなくなる活躍だった。

 鈴木彩艶も立派にブレイクした。浦和レッズのサブだった2、3年前を考えると大化けだ。川口能活、川島永嗣、権田修一、シュミット・ダニエルらを超える日本サッカー史上最高のGKの座に就いたと言っていい。

 1番手と2番手は三笘薫と久保建英だ。ここは昨シーズンと変動がない。三笘は10ゴールを奪う活躍で、久保は数字こそ残せなかったが、昨季よりチーム内での評価を上げた。右肩上がりを示したわけだが、その幅はどうだったのかと言えば、決して大幅ではなかった。CLにも出場することができなかった。それでも日本人欧州組の1番手、2番手の座をキープした。ふたりを抜き去る選手はいなかった。マックス値は更新されなかった。日本サッカー界の問題を見る気がする。ピラミッドの頂点は停滞している。筆者にはそう見える。

 来季はシーズン後にワールドカップ本大会を控える。選手個々の欧州での活躍が代表チームの成績に大きな影響を与えると考えるのが自然だ。CLの決勝トーナメントに5人ぐらい出場するくらいでないと、ワールドカップベスト8以上は現実的な目標にならない。それぞれが来季、マックス値を更新することを期待したい。

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