
「コメを買ったことがない」
この失言で自ら農林水産大臣の職を辞することになったのは江藤拓衆議院議員。彼は父親で元衆議院議員の江藤隆美氏から地盤を譲り受けた「世襲議員」。隆美氏は政界を引退する際、記者から息子への世襲について問われると、
「取材禁止にするぞ!」
と、声を荒らげて恫喝したという。そんな言葉に対する意識の軽さも“世襲”した感のある江藤拓議員だが、彼の後を継いで大臣に任命された小泉進次郎議員も世襲議員。親から子へと地盤を引き継ぎ、政治家を家業とする人たちに世襲制限を、という声も上がるが、その兆しはまったく見えてこない。
政治家を辞めてほしい世襲議員をアンケート
そこで今回、全国40代〜60代の男女300人を対象に、政治家を辞めてほしい世襲議員をアンケート調査。このランキングの結果、あなたはどう思いますか?
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まずは14票で7位にランクインしたのは、小渕優子議員。故・小渕恵三元首相の次女で、経済産業大臣などを歴任した。
「金銭問題に決着をつけず、うやむやのままだから」(神奈川県・男性・58歳)
「政治資金の問題を起こした時の、説明責任を果たしていない」(兵庫県・男性・69歳)
彼女は2014年に自身の政治資金問題を指摘された際、証拠隠滅のためにパソコンのハードディスクをドリルで破壊したと報じられた。そこでついたニックネームが“ドリル優子”─。
「あのインパクトは大きかったですね(笑)。'14年の騒動がなければ、政治家としての評価と期待感は高かったでしょう。お父さんも穏やかな方で評判も良かったですし、何より女性を重用しようという現在、先頭に立てた人です」
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こう話すのは、ジャーナリストの大谷昭宏氏。世襲議員たちについて、解説をしていただこう。17票を獲得し6位に名前が上がったのは、話題を振りまいた江藤拓議員。
「消費者や農家をバカにしている。宮崎の恥さらし」(宮崎県・女性・57歳)
「国民感覚とかけ離れていることがわかった。大臣の器じゃないし、さっさと議員を辞めてほしい」(北海道・男性・58歳)
と、怒り心頭なコメントが並ぶ。
「今回の失言騒動で、彼が2世議員だということを知った人も多いのでは? 父親の隆美氏は、とりたてて政界で大きなことをした人ではありませんから」(大谷さん、以下同)
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地盤である宮崎県民からも見捨てられるようなコメントがあり、次の選挙では厳しい結果が待っている!?
3位には3人が名を連ねる
そして、3位には19票で3人が名を連ねた。ランクインした中で、唯一、自民党以外の小沢一郎議員。
「昭和の政治家というイメージ。いまだに政界で力を持っていると思っているのは自分だけなのでは?」(愛知県・女性・52歳)
「もう年齢も年齢なので、若い政治家に道を譲るべき。政権交代したら、裏で暗躍しそう」(愛知県・男性・47歳)
小沢一郎=黒幕、といったイメージが強いコメントが多数寄せられた。
「今は立憲民主党ですが、もともとは彼も自民党ですから。ただ、最近は政界での影が薄いので、ランクインしたのが不思議ですけど(笑)。おそらく、自民党幹事長時代の剛腕ぶりがイメージとして残っているのでしょうね」
小沢議員と並んだのは、父・河野洋平、祖父・河野一郎という“ビッグネーム”の家系である河野太郎議員。
「ワクチンやマイナンバーカードの強要など、大臣時代の悪行があまりにもひどい」(神奈川県・男性・60歳)
「立場が変わると言ってることがコロコロ変わる。国民のことではなく、自分の功績をいちばんに考えているみたい」(大阪府・女性・55歳)
前回の自民党総裁選では最有力候補とも言われていたが、フタを開けると最下位を争うほどの低人気。大衆人気はあったはずだけど……。
「この人は権力を使えるポストに就くと、大衆よりも自分のために突っ走る人なんです。いろいろと成果を出したと公言していますが、実際は何もない。外務大臣のときも、“スタンプラリー”と揶揄されるくらいに何か国も訪問したけど、結果は何も残していません。要職に就いていますが、今や彼がどんな人間かを国民もわかってきたでしょう。次に首相候補として名前が挙がることはないと思います」
そして4世代以上、脈々と政治家の家系のもとに育った“政界のサラブレッド”小泉進次郎議員も3位に。
「人気もあり発信力もあるけど、悲しいことに実力がない。言葉明瞭、意味不明なところも情けない」(兵庫県・男性・67歳)
「レジ袋を有料にしたくらいしか、この人の成果を知らない。迷惑なことしかしてきていない」(神奈川県・女性・55歳)
“進次郎構文”などとSNSでは大喜利状態になるほどの人気(!?)な小泉議員。今回、農水大臣として結果を出すことはできるのか?
「6月にはコメ5kg2000円台で店頭に並ぶ、と豪語していますが、流通する備蓄米は古米、古古米ですから、2000円台は当たり前なんです。新米がこの価格になるわけではないので、コメの価格が下がったといっても彼の功績ではありません。
今回のコメの流通でまた人気が上がるなんて言われてますが、しょせんは“あぶく人気”。人気だけで実のない人なので、辞めてほしい議員にランクインするのは納得です」
2位は「仕事をやり切る器ではない」
2位は30票で現職の総理である、石破茂議員。
「初めは期待していたけど、総理になりたかっただけで、仕事をやり切る器ではないと思う」(長野県・男性・40歳)
「岸田時代より良くなると思ったけど、実際は悪くなった気がする。国民のことを考えているとは思えない」(千葉県・女性・52歳)
少数与党を引っ張る石破首相だが、「何もかもが中途半端」「自民党の老害たちの言いなり」など辛辣なコメントが……。
「首相になるまでは期待が大きかったけど、いざやってみると何もできないことがわかってしまった。自民党内で後ろ盾がないなら、小泉純一郎さんが“自民党をぶっ壊す”と郵政改革を行ったように突っ走ればいいけど、その力もない。
選択的夫婦別姓制度についてものらりくらりするだけで、一向にまとめられる気配もない。これでは決断力がないと、国民から見放されますよ」
そして1位は、2位にダブルスコア以上の79票を集めた、麻生太郎議員。
「礼儀も言葉遣いも知らない、最低の老害政治家。権力に固執して、政界の人事を裏で操って、自分の利益しか考えていない」(東京都・女性・67歳)
「政権交代するきっかけをつくった首相のくせに、すべてにおいて偉そう」(岩手県・女性・63歳)
“キングメーカー”として党を動かしている、などと言われ続けている麻生議員。国民からの嫌われっぷりも群を抜いている。
「石破さんが首相に就くときは賛成に回ったけど、もう次の首相を誰にするかで動いている、なんて言われてますよね。いつまで“キングメーカー”気取りなのか、と有権者にも動きが見透かされているから、ダントツで辞めてほしいと思われるのでしょう」
政治を“家業”もしくは“稼業”とする議員たち。この悪しき慣習を変える方法を大谷さんはこう語る。
「世襲というものは利権のバトンリレー。権益の中で生きている人たちにとって自分の利益を守ってくれるのなら、誰が後を継いでもいいわけです。
世襲議員がわが物顔でいられるのは、小選挙区制になったから。この選挙制度を変えない限り、世襲というものはなくなりません。悪しき連鎖を断ち切るには、まずは夏の参議院選挙で野党が勝つこと。そして政権交代をして選挙制度を変えるしかありません。
野党にも世襲議員はいますが、与党と野党、どちらが大きく血を流すかです。野党にはその覚悟を、有権者は選挙で政権交代をさせる。それが世襲議員たちをなくしていく方法です」
<取材・文/蒔田 稔>