OTC類似薬の保険外しに医師警鐘!ロキソニンテープ1枚2000円、リンデロンVs軟膏2万円に

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2025年06月04日 11:10  web女性自身

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「“OTC類似薬”が保険適用外になると、処方箋は発行されなくなり、病院で診断を受けたのに、『市販薬を薬局で買ってください』と言われかねない事態になります。そうなれば、患者の負担が増えるだけでなく、健康まで損ないかねません」



そう警鐘を鳴らすのは、野田阪神駅前いまい皮フ科小児皮フ科アレルギー科院長の今井康友さん。



“OCT類似薬”とは、市販薬とほぼ同じ成分だが、医療機関で処方され、保険適用となる薬のこと。約7千種類あるという。



ところが現在、「OCT類似薬の一部を保険適用から外すことで、医療費を約1兆円削減できる」として、自公・維新の3党協議により“OCT類似薬の保険外し”が進められているのだ。



「維新の会は、保険適用から除外したい28の薬剤名を4月に公表しました。このなかには、アトピー性皮膚炎などに使用するヒルドイドクリーム(ヘパリン類似物質)や、腰痛などで使用する鎮痛剤のロキソニンテープ、花粉症などに効くアレジオン、去痰剤のムコダインなど、おなじみの薬が多数、含まれています」(全国紙記者)



こうした動きに対し、日本医師会のほか、開業医や勤務医らが加盟する全国保険医団体連合会などからも、反対の声が上がっている(今国会の合意は断念)。



まず、気がかりなのが、患者が窓口で支払う薬代の負担増だ。前出の今井さんは、こう指摘する。



「アトピー性皮膚炎の患者などが使用する保湿剤のヘパリン類似物質油性クリームを200g処方した場合、後発薬なら患者が支払う薬代は3割負担で約240円。調剤料等を加えても約630〜680円に収まります。



ところが、OTC類似薬から除外され、薬局で同様の市販品を200g購入するとなると、5千円以上かかります」(今井さん、以下同)



つまり、アトピー性皮膚炎で毎月200g継続使用している場合、年間5万7千円以上の負担増に。



同様に、皮膚の炎症やかゆみを抑えるリンデロン軟膏も、今後、除外リストに追加される可能性があるという。



「リンデロン軟膏を100g処方した場合、薬代のみなら3割負担で500円程度。薬局での支払いは調剤料含めて3割負担で1千円程度ですが、OTC類似薬から除外されて薬局で購入するとなると、100gで2万円ほどかかることになります」



つまり、薬代のみなら約1万9千500円もの負担増に……。





■飲み合わせに注意が必要な薬しか処方できなくなる



こうした皮膚疾患の薬は、湿疹や、じんましん、アトピー性皮膚炎の患者のみならず、抗がん剤の副作用で皮膚炎になった場合にも処方される。これほど負担が増えると、継続治療が困難になる患者が出てもおかしくない。



加えて懸念されるのが、もっとも大切な“薬の安全性”。



「当院の患者さんには、血圧や心臓の薬など、何種類も服用されている方が多数います。



そうなると、薬の“飲み合わせ”が問題になるのですが、除外されるリストには、じんましんに効くアレジオンやタリオンといった、複数の薬を服用している方にも処方できる安全性の高い薬が含まれているんです」



そうした薬が保険適用外になると、「飲み合わせに注意が必要な薬」しか処方できなくなるのだ。



かといって、薬局でアレジオンを購入すると、24日分で約2千円。OTC類似薬なら、3割負担でも100円程度の薬代ですむので、20倍の負担増だ。



当然、患者のなかには「保険適用の薬を処方してほしい」と要望する人もいるだろう。まさに、“薬の安全性”をとるか“お金”をとるか、究極の選択を迫られる。



にもかかわらず、OTC類似薬の保険外しによって、“医療費削減”も、達成できるか疑わしい。



「たとえば、『保険適用の薬を処方してほしい』という患者さんの要望に応じて、今回、除外リストに入っている水虫の外用薬ラミシールクリームに代わり、内服薬のラミシール錠を処方するとします」



ラミシール錠の薬価は、後発品で1カ月分約千400円(3割負担で約420円)。一方、外用薬ラミシールクリームの薬価は、後発品で1本10g約95円(3割負担で約30円)だ。



「ラミシールクリームの市販薬は1本約1千円なので、患者にとっては内服薬を処方されたほうが安くすみますが、国の医療費は、かえって高くついてしまうのです」



これでは、いったいなんのための保険外しなのか、わからない。



「薬が処方されないなら、受診しても意味がない」とあきらめて、自己判断で市販薬を購入する人が増えると、症状の悪化も懸念される。



今井さんのクリニックでは、先日も、こんなケースがあったという。



「市販のロキソニンテープを貼って腰痛をしのいでいたが、いっこうに治らない、と言って受診された患者さんがいました。患部がピリピリするとおっしゃるので診察したところ、その方は単なる腰痛ではなく、帯状疱疹でした」



帯状疱疹は、体内に潜伏していた水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化して発症する皮膚の病気。治療が遅れると、治ったあとも神経痛が残る可能性もある。ロキソニンテープでは治らず、早期に抗ウイルス剤を服用しなければならない。



それでも、薬が手に入ればよいが、今後は、薬不足に拍車がかかり、薬が手に入らない事態にも。



「ここ数年、価格の安い処方薬の品薄が常態化しています。OCT類似薬の一部が保険から外されることになると、外されていない類似薬に処方が集中し、処方薬の品薄に拍車がかかって、患者さんに適切な薬が届けられない事態に陥ります」



患者の自己負担が増大し、命の危険にまでさらされるOCT類似薬の保険外し。机上の空論ではなく、現場の声を聞くことが先決だろう。

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