真夏のごみ集積所で空き缶を舐めていた茶トラ猫は猫エイズで… 「最期まで一緒に」終生飼育を決めた先にあった家族の絆

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2025年06月04日 14:30  まいどなニュース

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窓辺で日向ぼっこ♪(左から)同居犬のレンくんとちゃあさん(画像提供:床さん)

それは何気ない日常の中で、不意に訪れました。思いがけない出会いが、ひとつの命と暮らしを結びつけ、新しい時間が静かに動き始めたのです。Xユーザー・@ningenhayukaさんは、ある夏の日、ごみ集積所で偶然出会った茶トラの男の子「ちゃあ」さんと静かにご縁が結ばれました。当時の推定年齢は3、4歳。そこから始まった、新しい日々の物語です。

【写真】発見時のちゃあさん。周囲を警戒しているのがわかります

空き缶を舐めていた茶トラの猫、ごみ集積所での出会い

ちゃあさんと飼い主さんが出会ったのは、2023年7月3日のこと。地域のごみ集積所の当番をしていた飼い主さんは、空き缶の袋を整えようとしたとき、不意に中から猫が飛び出してくるのを目にします。

「シーチキンの空き缶を舐めていたようで、とてもお腹が空いていた様子でした。気がつくと自宅までついてきてしまって…」

迷い猫か地域猫かを見極めようと考えたものの、痩せた体からは放浪期間の長さが感じられました。交通事故などのリスクも思い浮かび、おやつを使ってケージに誘導。そのまま保護することにしました。

「当初は元の飼い主さんや里親さんを探すつもりでしたが、病院で診てもらうと猫エイズのキャリアであることがわかって…。それならうちで最期まで一緒にいようと、終生飼育を決めました」

警戒心MAXの猫と共生の工夫——高まった保護活動への関心

保護された日から、ちゃあさんはおとなしく過ごしていましたが、警戒心は強く、2日目にはトイレ掃除中に右手を噛まれてしまったという飼い主さん。

「人に慣れているというより、ご飯をもらうために人に近づくことを覚えた子なのかなと思いました。不用意にお尻の方から近づいてしまって、怖がらせてしまったのが申し訳なかったです」

同居していた犬のレンさんは、先住の元保護猫「おはぎ」さんを迎え入れた経験もあり、ちゃあさんにも自然に接していたといいます。

「最初はひやっとする場面もありましたが、人間よりも早く仲良くなっていたかもしれません」

おはぎさんと比べて「猫らしい猫」だと感じるちゃあさん。トイレもすぐに使えるようになり、大きなトラブルはなかったとのこと。ただ、猫エイズキャリアであるため、おはぎさんとの生活空間は分ける必要がありました。

「感染力は強くないとのことでしたが、念のため食器や水、おもちゃなどは別々に。ちゃあさんとレンさん、人間だけが入れるスペースを確保しました」

2匹目の保護猫だったこともあり、準備や接し方には落ち着きをもって対応できたという飼い主さん。ちゃあさんがゆったりと過ごせるよう、日向ぼっこできる場所や静かな環境を心がけて整えています。

「ちゃあさんを迎えたことで、さらに保護猫や保護犬への関心が高まりました。地域の保護団体に寄付をするようになったのも、実際に保護した経験からだと思います」

私にだけ見せてくれる顔、ちゃあさんのやさしい甘え

現在、推定4、5歳を迎えたちゃあさん。極度の人見知りでありながら、飼い主さんには甘えん坊な一面を見せてくれます。

「私ひとりのときは、すぐ喉をゴロゴロ鳴らして甘えてくるのですが、他の家族がいるとわかると、途端にスンとした顔つきになります」

飼い主さんのことが大好きなちゃあさんには、夜のルーティンがあるそうです。

「夜、寝るときは私のそばで丸くなり、お気に入りの毛布の上でふみふみしながら寝付きます」

命の危機を脱し、一生の家族と出会ったちゃあさん。優しい飼い主さんのもとで、幸せな日々を過ごしています。

「これからも、ちゃあさんには穏やかに過ごしてほしいです」

(まいどなニュース特約・梨木 香奈)

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