限定公開( 1 )
「ラフを作成するのにも、画像に透かしが入っていると見栄えが悪いので、Photoshopのスタンプツールでひたすら消すということもやっていました」──アドビが5月29日に公開した、ヤクルトの事例記事が物議を醸している。ストックフォトの利用法に関する記述についてSNSで批判が相次ぎ、アドビは6月3日までに記事を修正した。
記事は、ストックフォトサービス「Adobe Stock」を含む、法人向けクラウドサービス「Adobe Creative Cloud Pro」の活用事例を紹介するもの。ヤクルトの広告部が、製品パッケージデザインなどに他社のストックフォトやCreative Cloudなどを活用していたものの、Adobe Stockを無制限に使えることからCreative Cloud Proに乗り換えたことを説明している。
しかし記事の文中には、ヤクルト担当者によるコメントとして「これまでレンタルポジやCD-ROM素材集、近年ではインターネットのストック素材など利用してきましたが、どれも素材の検索や入手に時間がかかり、選定した後の加工も大変でした。ラフを作成するのにも、画像に透かしが入っていると見栄えが悪いので、Photoshopのスタンプツールでひたすら消すということもやっていました。その後、Adobe Stockの存在を知り、種類も多く、検索もしやすく、何よりクオリティーの高さに驚きました」という記載が。
Xではこの記述に対し「そのまま最終成果物に使ってしまったものもありそう」「ストックフォトサイトの規約違反に当たる可能性もあるのでは」「わざわざ透かしを消さなきゃいけないなんて、風通しが悪そう」といった批判が相次いだ。
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有料ストックフォトサイトは基本的に、カンプ(透かし入りの画像)を最終成果物に利用することを認めていない。サービスによっては、社内用のラフとして使うケースでも、透かしの削除を認めていない場合もある。
例えばストックフォトサイトのPIXTAは「カンプデータに埋め込まれた透かしは、当社の承諾なく削除することはできません」と規約で明示している。Adobe自身もAdobe Stockの素材について、カンプを制作過程のサンプルなどで使うことは認めているが、最終成果物に使うことは禁じている。Adobe Stockの規約は以下の通り。
●利用規約(追加条件) 5.2
「お客様は、Stockアセットをダウンロードした日から90日以内であれば、最終製品またはオーディオプロジェクトにおけるStockアセットの表示や音声をプレビューする目的に限り、Stockアセットの『カンプ』(コンポジットまたはプレビュー)バージョンを使用、複製、修正、翻案、または表示することができます。明確にするため付言すると、カンプライセンスに基づく場合には、お客様は、Stockアセットを最終製品や本オーディオプロジェクトで使用することや、いかなる方法でもStockアセットを一般に公開することは許可されません」
批判を受けてか、アドビは3日までに記載を修正。問題の記載を「例えばラフを作成するのにも、画像に透かしが入っていると見栄えが悪いので、Photoshopのスタンプツールでひたすら消して、採用が決まると本番画像を購入して差し替えるといったこともしていました」と変更し、ヤクルトは最終的に素材を正規に購入していることを明示した。
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しかし修正後の文章に対しても「事故につながり得る運用だったのは変わらないのでは」「(クリエイター向けサービスを手掛ける)Adobeが出していい記事ではない」といった批判の声が見られる。
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