「ミャア…ミャア…」 どぶに埋もれて助けを求める子猫 過酷な環境で生きる外猫をこれ以上増やさないために

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2025年06月04日 16:40  まいどなニュース

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ドブの中に埋もれていた生まれたばかりの子猫

「場所は分からないんですが、子猫の鳴き声がするんです」

【写真】「子猫をひろった…どうしよう」「うちに連れておいで」姪が救出した195グラムの小さな命

静岡県にある保護団体、アニマルフォスターペアレンツの元にこんな情報が寄せられました。

連絡があったのは夕方に差し掛かった時間帯。すでに付近は陽が落ちつつありましたが、「少しでも明るいうちに保護したい」と団体メンバーは急いで現場に向かいました。

すると、現場では確かに子猫の鳴き声が。生まれて間もない子猫の声ではなく、断続的に「ミャア! ミャア!」とパニックになっているような悲痛な叫びです。

しかし、どこを見渡しても、子猫の姿は見当たりません。さらに耳をすましてその鳴き声の頼りに探ってみると……どうも地面の下に流れるドブの中からのものだとわかりました。

蓋を持ち上げドブの中を見ると子猫の姿が!

どうして子猫はドブの中に入り込んでしまったのでしょうか。ともあれ、急いで救い出さなければいけません。

団体メンバーはまず地面の蓋を持ち上げ、ドブを目視できる状況にしました。すると、ドブに浸かったドロドロの状態の子猫の姿がありました。

すでに体中が濡れて冷え切っていて、緊張が走ります。生まれてまもない子猫は体温調整ができないことがあり、低体温状態が続くと衰弱し、最悪命を落としてしまうこともあります。慌てて救い出し、まずは団体と懇意の個人宅へと連れ帰ることにしました。

道中、子猫はずっと大声で鳴き続けていました。団体メンバーはここで直感します。「この子は大丈夫だ。こんなに鳴いているのだから」と。

個人宅に着いてから、まずは子猫の体を温めてあげました。温めたミルクもあげてみましたが、疲れ果てているのか不馴れなのか、これは上手に飲めませんでした。そして、子猫は次第にウトウト。そのまま眠ってしまいました。

団体メンバーの直感は的中し、子猫の命に別状はなさそうでした。

健康を取り戻し成長、温かいお家での幸せな猫生へ

その後、献身的なケアを施したことで子猫は次第に体調を回復。そして、子猫の性別はオスで、推定月齢4週間ほどだということもわかりました。このときの体重はわずか280グラム。助けることができて本当に良かったです。

保護当初パニックになったり、人間の前にして怯えるような様子も伺えた子猫はのちに心を開いてくれるようになり、スクスクと元気に成長していきました。そして、完全な健康体を取り戻したところで、子猫を家族として迎え入れてくれる里親募集もスタート。後に子猫にぴったりの里親さんとマッチングを果たし、今では温かいお家の中で幸せいっぱいの日々を送っているそうです。

外猫の環境は30年経っても良くならない

実は今回の子猫は「尊い命が救われた」という意味でまだ幸せなほうかもしれません。

団体の元には、今回の子猫に限らず猫にまつわる様々な相談が寄せられると言います。飼育放棄の相談も多い一方、団体が30年近く活動を続けている中でも一向に状況が良くならないのが「外猫」にまつわるもの。人間の身勝手さ、配慮のなさから悲しい結末を迎える猫はあまりに多いとも団体メンバーは言います。

悲しい思いをする外猫をこれ以上増やさず、そして1匹でも多く猫たちが幸せに暮らしていける社会を目指すためには、まず私たちの意識を変えることから始めるべきだとも思いました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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