事件現場となった蕨郵便局=2023年10月31日、埼玉県蕨市 埼玉県蕨市の郵便局で2023年10月、局員を人質に立てこもり、警察官に向けて発砲するなどしたとして、殺人未遂などの罪に問われた無職鈴木常雄被告(88)の裁判員裁判の判決が4日、さいたま地裁であった。佐伯恒治裁判長は「実に凶悪で大それた犯行だ」として懲役24年(求刑懲役25年)を言い渡した。
公判で鈴木被告は殺意を否認していたが、佐伯裁判長は、同被告が拳銃を長期間保有し、何度も撃ったことがあると述べた点に触れ「殺傷能力の高さを十分認識していた」と判断。いずれの発砲も人のすぐ近くに弾丸を撃ち込んでいるとして殺意を認定した。
その上で「他者の安否や損害を一顧だにせず、その極端な自己中心性には強い驚きと恐怖を抱かざるを得ない」と非難し「刑事責任は誠に重い」と結論付けた。