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就職活動中の学生が、面接やOB・OG訪問などの音声を投稿・共有できるサービス「Voice Career(ボイスキャリア)」が、SNS上で波紋を広げている。運営するEdu Studio(東京都港区)は「リーガルチェック済み」「就活生は安心して利用できる」などと説明しているが、X上ではコンセプトや運営方針に対する疑問の声が相次いでいる。
【画像】人気企業の「実際の面接時の音声」がずらり 「ボイスキャリア」はどんなサービス?(計5枚)
ボイスキャリアは、2023年6月にリリースされた就活生向けのサービス。実際の面接やグループディスカッション、OB・OG訪問で録音した音声を投稿でき、他の学生が聴取して選考対策に活用することを想定している。
会員登録時には学生しか登録できないように大学専用のメールアドレスを用いた認証を設けており、同社によると「会員の約7割が海外大や東京大学、京都大学、慶應義塾大学、早稲田大学などの上位校の学生」だという。
投稿された音声についてはプライバシーを考慮するとの立場から、ボイスチェンジや音声カット、自主規制音による加工を実施。音声は会員のみが聴取できる仕組みになっている。また同社は「就活生および採用企業双方のためにならないと判断した音声は掲載を差し止める」とも説明している。
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各音声の企業名や選考年次、面接形式などは外部からも閲覧できる仕様となっており、「掲載企業一覧」には三菱商事や住友商事、アクセンチュアなど、実在する企業200社超の名前が並ぶ。
サービスは2025年5月下旬ごろからX上で注目を集め、コンセプトなどに対する疑問の声が相次いだ。「人事目線から完全アウト」「弊社では面接の録音を禁止しているのに情報が載っている」といった、企業関係者とみられる投稿も確認されている。
また、注目を集めたのが、同サービスの利用規約だ。規約では、投稿された音声に関して第三者との間に紛争が生じた場合、「投稿ユーザーの費用と責任で解決する」と明記されている。さらに、その内容が法令に抵触しているかどうかについて、運営側が監視・確認する義務はなく、ユーザーや第三者に損害が生じた場合でも「責任を一切負わない」としている。こうした構造については、「リスクを学生に転嫁しているのではないか」との批判も上がっている。
音声ファイルのリンクに直接アクセスすることで「ログインせずとも再生できた」との指摘もあり、認証や情報管理体制に対する懸念も広がっている。
Edu Studioは24年4月に公開された同社のnoteで「『常識的ではない』『違法性はないのか』といった懸念の声を(企業から)いただいたこともある」としつつ、「構想段階で複数の法律事務所に相談し、リーガルチェックを実施済み」として、法的な問題はないとの立場を示している。
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ITmedia NEWSでは、サービスの設計や投稿の前提条件、情報保護体制について、Edu Studioに文書での取材を申し入れている。6月4日時点では、同社からの回答は得られていない。
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