
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、当番組のスピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」を配信中です。この番組では、リスナーの皆様から寄せられたお悩みに、茂木が脳科学的視点から回答して「ポジティブな考え方」を伝授していきます。
5月31日(土)の配信では「過ごしている場所によって性格が変わるかどうか」という質問に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私は海外にいるときと日本にいるときで、自分の性格が変わっているように感じるのですが、これって錯覚なのでしょうか? 茂木さんは海外に行かれることが多いと思いますが、そのようなことを感じたことはありますか?
<茂木の回答>
ありますよ! 僕はやっぱり海外にいるときのほうが、より本音ベースで喋っていることが多いかもしれないです。
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テニスに例えると、日本だとボールをポーンと打っても、シーンとして何も戻って来ないことも多いです。海外だとこっちが打つと、向こうもポコーンと返してきてラリーになる感覚があって、そこは違うなと思いますね。だからおそらくあなたも海外に行かれると、何か性格が変わられるのだろうなと思います。
一方で、そうは言っても学生時代に比べると、僕はあまり海外の人格と日本の人格の差がなくなってきたかなという感じもするんです。例えば車を運転するとき、アメリカは右側通行で、日本は左側通行ですよね。最初にアメリカで運転をしたときに、左折のときについ左に行ってしまいそうになって「あ、違う」と思い直すということがあったのですが、アメリカと日本で運転を繰り返していると、瞬時に切り替えられるようになって、どっちも同じように運転できるようになってくるんですよね。
なので、この“海外人格”と“国内人格”というのも、最初は切り替わりに対して「おお、自分は違う人みたいになってる!」と思うわけです。でも、行ったり来たりを繰り返していると、そのうち瞬時に切り替えられるようになって「どっちも同じだなぁ」という感覚になってくる気がします。
僕はむしろ、国内でも海外でも同じように感じます。東京をベースにして仕事をして、時々海外に行きますが、「日本はやりにくいなぁ」「息苦しいなぁ」という意識は全くありません。日本にいようが、世界のどこにいようが、同じ感覚でやっているという意識が強いですね。
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脳科学の言葉で言うと、前頭葉を中心とする脳の回路、特に眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)というところが、そのときの状況に合わせて脳の活動を調整します。おそらくあなたは、その眼窩前頭皮質が海外と日本にいるときで、違う仕様になっているのだと思います。それはそれで楽しいですが、ひょっとすると将来は僕のように「日本でも海外でも、どこにいてもあまり変わらないよなぁ。自分は自分だ」というふうになるかもしれませんし、「日本はこう、海外ではこう」と使い分けをするようになるのかもしれません。これはそれぞれの人生によって違うと思うので、どうなるのか楽しみですね。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://audee.jp/program/show/11745
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