ラストランの有馬記念につながる勝利だった(写真は有馬記念、ユーザー提供:ribapuruさん) 歴史的な名コンビとして知られる「オグリキャップ&武豊騎手」だが、実は全32戦のうち、僅かに2戦しかタッグを組んでいない。多くのファンが思い出すのは、感動的な有終Vとなった90年の有馬記念だろう。しかしながら、初騎乗でGI制覇を果たした安田記念もインパクト抜群のレースだった。単勝1.4倍の1番人気に応え、2馬身差の圧勝を収めた一戦を振り返る。
オグリキャップは3歳(旧4歳)の春に中央に移籍。3歳時の有馬記念でGI初制覇を果たした。そして4歳秋にはマイルCSでGI・2勝目をゲット。連闘で挑んだジャパンCでも2着に健闘する。しかしながら、続く有馬記念では単勝1.8倍の1番人気に推されながら、まさかの5着に敗退。地方時代も含め、自身初となる馬券圏外に沈んだショックもあったのか、その後は復調に手間取った。そしてようやく迎えた5歳初戦が安田記念だった。
4歳時の全6戦で手綱をとった南井克巳騎手から武豊騎手に乗り替わった一戦、オグリキャップは単勝1.4倍の圧倒的支持にふさわしい走りを見せた。道中は好位のインを手応え良く追走。直線で楽々と抜け出すと、必死に食い下がるヤエノムテキに2馬身差をつけて、先頭でゴールを駆け抜けたのだ。勝ち時計の1分32秒4はレースレコード。また、この勝利によって通算獲得賞金がシンボリルドルフを抜いて、当時の日本歴代1位となった。
その後、オグリキャップの手綱は岡潤一郎騎手、増沢末夫騎手に渡るが、ラストランの有馬記念で再び武豊騎手に戻ることとなる。その背景に安田記念の勝利があったことは間違いなし。そういった意味でもオグリの歴史を振り返った時、非常に重要な一戦だったといえるはずだ。