東京商工リサーチの調査によると、全国の労働局が4月30日までに公表した「雇用調整助成金」(以下、雇調金)などの不正受給件数は、2020年4月からの累計で1699件に達したことが分かった。不正受給総額は551億6918万円にものぼる。
公表された1699件のうち、「雇調金」だけの受給は991件で約6割(構成比58.3%)を占めた。ほかに、パートタイマーなどの雇用保険被保険者ではない従業員の休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみが228件(同13.4%)、両方の受給は480件(同28.2%)だった。
●都道府県別でみると
都道府県別の最多は「愛知」の273件で、同県のみで地区別3位の近畿(267件)を上回った。ほかに「東京」が207件、「大阪」が173件、「神奈川」と4都府県が100件を超えた。
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不正受給が公表された1699件のうち、東京商工リサーチの企業情報データベースで分析可能な1299社(個人企業を含む)を対象に、産業別と業種別に集計した。産業別の最多は「サービス業他」の595社(構成比45.8%)で、半数近い結果となった。「建設業」は174社(同13.3%)、「製造業」は143社(同11.0%)と、3産業が100社を超えた。
産業を細分化した業種別では、最多は「飲食業」で183社(同14.0%)、「建設業」は174社(同13.3%)、人材派遣や業務請負などの「他のサービス業」が128社(同9.8%)、旅行業や美容業などの「生活関連サービス業、娯楽業」が102社(7.8%)で、4業種が100社を超えた。
東京商工リサーチは「コロナ禍の雇調金支給は、営業自粛や人流抑制などで休業や営業縮小を余儀なくされた企業において、従業員の雇用維持に一定の役割を果たした。しかし、迅速に支給を行うため手続きを簡略化した特例措置が講じられたが、逆手に取った不正受給も招いてしまった」と分析している。
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