みよしみらいさん(Instagram/@miyoshi.miraiより) 脳性麻痺で歩行困難なため、車椅子生活を送っている小学4年生(9歳)の三好未来さん。モデルやアイドルになることが夢で、歩行器でファッションショーにも出演しています。そんな未来さんが頑張って立ち上がり、歩く動画が10万回再生を超える反響を呼び、「見てるこっちが励まされる」「諦めない強い気持ちや明るく前向きな姿が頼もしい」「笑顔で挑戦できるのはすごい」などとコメントが寄せられました。歩けた時の状況や未来さんとの生活で心がけていることについて、お母さんに聞きました。
【動画カット】立ち上がり歩みを進める9歳女児、ハイタッチで喜ぶ姿が尊い「最高の笑顔」「感動しかない」◆「立ち上がって立位を取ること自体すごい」 脳性麻痺の娘が頑張って歩く姿に感動
――SNSでは、「みんなを幸せにする笑顔ですね」「頑張る気持ちが素晴らしい」「チャレンジ精神が素晴らしい」「明るい笑顔に元気をもらいました」「これ程尊い動画はない」などとコメントが寄せられました。お母さんの外出中に留守番をしながら歩行練習をしていた娘さんは「3.5歩くらい歩けている」とのことですが、当時の状況について教えてください。
「私が別のお友達を駅に迎えに行っている間に、娘とお友達とそのママで留守番をしてもらっていました。娘は大好きなお友達のママに「少し歩けるようになったところを見てほしい」と言ったようで、動画を撮ってくれました。今までの最高記録は2歩なので、3.5歩はすごくうれしかったようです。ずっと移動は車椅子か歩行器か手引き歩行だったので、自分で立ち上がって立位を取ること自体すごいことなんです。
――動画を観て、お母さんはどのように感じましたか?
「ここ最近、少し立ち上がれるようになってきたところだったので、立ち上がりからの歩行はすごいと感じました。動画には声を入れなかったのですが、お友達のママが自分のことのように喜んでくれているのもうれしかったです」
――小学4年生の未来さんは脳性麻痺で歩行困難で車椅子生活とのことですが、生まれた当時の状況やお母さんの当時の心情を教えてください。
「出産は早産でも難産でもなかったため、その時点では普通に退院して育児が始まりました。脳性麻痺は1歳になる頃に診断を受けました。お座りができなかったり、いろいろな点で発達の遅れを感じていたので、診断を受けた時は、『やっぱりそうだったか…』と涙が出ました。ですが、病院帰りの車の中では気持ちを切り替え、『よし! 頑張ろう!』と気合いが入ったのを覚えています」
◆海外でのファッションショー経験も…『ファントミラージュ!』がきっかけで表舞台を目指すように
――「モデルやアイドルになることが夢」とのことですが、娘さんが夢を持ったきっかけや憧れの人などを教えてください。
「保育園の頃に『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』(テレビ東京系)を観て、そこから憧れが始まったと思います。普通の女の子が悪をやっつけて歌い踊る姿に憧れていました。特に目指している人はいないようですが、今はアニメ『推しの子』(TOKYO MXほか)が好きで、星野アイちゃんやルビーに憧れているようです。そして、昨夏出演した『24時間テレビ47 愛は地球を救うのか?』(日本テレビ系)の収録が楽しかったようで、テレビにまた出たいと張り切っています」
――Instagramに「2月にロンドンコレクションのランウェイ歩きました」と投稿されていますが、コレクションに出演した経緯は?
「小学生になってからは、キッズブランド『LITTLE CAMDEN(リトル・カムデン)』のファッションショーに年2回出演しています。そのブランドのロンドンコレクションでオークションがあったのですが、私が飛行機が苦手なので、ロンドンでランウェイを歩くモデルではなく、日本で撮影するオープニング映像のモデル希望で参加しました。しかし、娘が『ランウェイを歩きたい』と言ったので、オーディションに受かったら私も飛行機に乗るという覚悟をしました」
――娘さんの様子はいかがでしたか?
「飛行機、海外、海外でのファッションショーと、娘にとっては初めてづくしで楽しくて仕方がない様子でした。本番で堂々とランウェイを歩くことができたのは、周りの人の協力も大きかったと思います。来年のロンドンコレクションに向けてオーディションがあるようなので、娘は『頑張る』と言っています」
――娘さんの夢を応援する上で、お母さんが大切にしていることはありますか?
「『娘がやりたい』と言ったことは、できるだけやらせてあげたいと思っています。頑張り屋で好奇心旺盛な子なので、あまり挫けたことはないのですが、弱気になった時は、『ママはずっと味方だよ』』家族でずっと応援しているよ』と伝えると安心してくれます」
◆「この家族に産んでくれてありがとう」 娘からの言葉に逆に励まされる日々
――娘さんを心配して、何か言葉をかけたことはありますか?
「娘が健常者の中で(ファッションショーに出て)つらい思いをしていないだろうか…と心配になり、『もうやめてもいいんだよ』と何回か言ったことがありました。ですが、『私は大丈夫だからやらせて下さい。お願いします』と言われてしまいました」
――娘さんの性格を教えてください。
「客観的に見て“面白い子だなぁ”と思います。よくしゃべり、よく笑います。とにかく頑張り屋さんで好奇心旺盛で、一緒にいて楽しいです。最近は考え方がどんどん大人になり、立場が逆転しています。私が励まされ、心配されています」
――成長を感じた瞬間などはありますか?
「いつか言われるだろうと覚悟していたのですが、『どうして私を脳性麻痺の歩けない子どもに産んだのよ!』『歩けなくて悲しい、つらい』などと、一度も言ったことがありません。『この家族に産んでくれてありがとう』といつも感謝してくれて、『私は歩けない子どもに生まれても幸せだよ!』と言ってくれます。本当にすごいなと感心します」
◆「あ〜今日も楽しかった!」子どものその言葉で自分自身も頑張れる
――子育てをする中で、「大切にしていること」や「幸せを感じる瞬間」は?
「子どもとの楽しい時間を大切にしています。子どもたちは1日が終わる時に、『あ〜今日も楽しかった!』とよく言ってくれます。中学生になった長男はもうあまり言わなくなったけれど、娘は今でも言ってくれます。それを聞くとすごくうれしくて、『また楽しい1日にしてあげたい!』と私自身も頑張れます」
――SNSへの投稿を始めたきっかけは?
「娘は写真や動画を撮られることが好きで『撮って、撮って』と言うので、Instagramに載せています。そこからアイドルやモデルのお仕事に繋がればいいなと思っています。ありがたいことに、娘のInstagramを見てくれる方は温かい人ばかりで、一度だけ厳しい言葉をもらったことはありますが、それ以外はありません」
――勇気づけられた言葉などはありますか?
「みなさん本当に娘のことを応援してくれて、うれしいときは一緒に喜んでくれたり、時には私のことを心配してくれたり励ましてくれたりと、親戚が増えたような気持ちです。『未来ちゃんを見ていると自分も頑張らなきゃって思いました』とよく言ってもらえますが、その言葉に『私たちも頑張らなきゃ!』と思えます」
――SNSを通して実感したことを教えてください。
「人からの温かい言葉はこんなにも勇気がもらえるんだと実感していて、それがSNSのいいところだと感じています。ですが、もしこの先、誹謗中傷などの被害を受けて娘が傷つくようなら、SNS投稿はやめると思います」