目のピント合わせを支援する“オートフォーカスアイウェア”を開発・販売するViXion社(東京都中央区)は6月5日、新モデル「ViXion01S」の一般販売を始めた。全国にあるビックカメラとヨドバシカメラ計46店舗の他、Amazon.co.jpなどECサイトでも販売する。価格は8万円(税別)。
本体正面にある距離センサーで見ている物との距離を計測し、電気的にレンズの厚みを変えて焦点を合わせるウェアラブルデバイス。いわば目の水晶体の役割を代行するもので、装着した人の目には風景がくっきりと見える。しかも目が疲れにくいといったメリットもある。
基本的な仕組みは2023年夏にクラウドファンディングを実施して4億円を超える支援を集めた従来機の「ViXion01」と同じで、レンズ径も変わっていない。つまり視野は狭く、周囲のぼやけた視界も常時、目に入っている。
ただし距離センサーや回路などは一新しており、フォーカス精度を向上。フォーカス速度も数字などは公表されていないが、速くなっているようだ。従来機が視線を移してから「すぅっ」とピントが合う印象だったのに対し、今回は視線を移す間に追従し、ごくごく短いタイムラグでピントが合う感じになっている。
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本体は約40%軽量化され、アウターフレームなしなら33g、ありでも47gとなった。外観は「普通のメガネ」に近づき、アウターレンズをカスタマイズできる。例えば乱視補正レンズや普段のメガネと同じ度数のレンズを入れて周辺視野を広げることも可能だ。そして内蔵のリチウムポリマーバッテリーは150mAhと小さいながらも最長で約15時間駆動するという。
●アプリで自分に便利な拡張機能を追加
専用アプリ「ViXion Connect」(iOS、Android)では、新しいハードウェアの機能をを活用し、ユーザーの使用シーンに合わせたさまざまな機能を追加できるようになった。
例えば、距離センサー(ToF)は9分割タイプとなり、細かい調整も可能だ。これを利用して、「モニター画面を見る機会が多い人は、センサーの下の部分を使う設定にすると的確に画面を捉えられる。(目の位置より上にセンサーがある)従来機では画面の向こう側にピントが合ってしまうこともあった」。
同社は、こうしたハードウェアの動作設定を「拡張機能」としてアプリ向けに配信。利用者は自分のニーズに合わせて機能拡張を選び、ViXion01Sに追加できる仕組みだ。
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他にもプラモデル制作に活用しているというユーザーから「近距離での作業時は、距離センサーの反応をゆっくりにしてほしい」といった要望が寄せられたことがあり、同社は「On-Hand Focus Lock」という機能拡張を即日リリースしたという。
ViXionの南部誠一郎社長は、「ユーザーの好みに応じて好きな機能拡張をインストールすれば、自分だけのオートフォーカスアイウェアになる」と話す。
今後は、レンズの大径化などハードウェアとしての進化に加え、本体のキャリブレーションによって取得できる「度数」などのデータを蓄積し、ヘルスケア用途に活用する構想などもあるという。
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