恋愛コラムニストの神崎メリさん『週刊文春』による永野芽郁と田中圭の不倫疑惑、5月7日に発表された第二報で、2人の赤裸々なLINEのやり取りが公開され、SNSで話題を呼んだのは周知のとおり。「めいの匂いが」「めいのいない未来は考えられない」「もう織姫と彦星の気持ち」など、甘ったるい言葉の数々は、ネット上で“田中圭構文”と注目を集め、一部のユーザーはその現象を“恋愛異常状態”と揶揄した。
周りが見えず2人だけの世界にどっぷりハマってしまう、恋愛異常状態とは?
そこで今回、『既婚メス力』(光文社)などの著書がある恋愛コラムニストの神崎メリさん(X:@kanzakimeri)に、恋をするとなぜ恥ずかしいメッセージを送ることができてしまうのか、不倫に盛り上がっている時の心理状態などについて聞いてみる。
◆社会人としての仮面をかぶっていると反動で“バブ化”
若い頃、恋に夢中になった経験をしている人は少なくないはずだ。しかし、家庭を持っているにもかかわらず、恋愛で周りが見えなくなる人も存在する……。どうして理性を保つべき大人がこのような状況に陥ってしまうのか?
神崎メリさん(以下、神崎)「若い時は仕事をしていないので、わりと恋愛のことだけ考えていればいいんですよね。しかし大人になると、“社会人としての自分”という仮面をみんながかぶりだすんです。特に女性よりも男性のほうが社会生活のなかで虚勢を張って生きてる人が多いため、それを外してくれる女性と巡り会ってしまうと、男性は“バブ化”することがあります。要は、赤ちゃん返りですね」
人間は誰だって甘えたい、称賛されたいという気持ちを抱えている。特に男性は「バカなことをしたい」「ふざけたい」という欲求を封印してるからこそ、反動で恋人相手に異常に甘えてしまうのだとか……。
神崎「バカな自分も受け入れてくれる人、幼い自分を愛でてくれる人を多くの男性は求めてると思います。だから、自分の幼児性を出せる女性に出会うと、どんどん甘えん坊になって、支離滅裂なメッセージを送ってしまう傾向があるんじゃないかなと。
ただ、結婚して子供が生まれた後もそれだと、奥さんは困る。『うちにデカい息子はいらない』ってなってしまい、旦那のふざけた幼児性を受け入れる余裕がなくなってきちゃうんです」
とはいえ、家庭外に恋人ができても困るのは事実だ。神崎さんは、時には相手に甘えたり、甘えさせてもらえることは夫婦間でも大事だと言うが、もっとも注意すべき点はパートナーの周りの環境なのだとか。
神崎「周りに不倫をしている人たちがいたら要注意。不倫の話が日常の会話のなかで飛び交ってると、人はだんだん麻痺してきます。そこにいると不倫=タブー感が薄れちゃってガードがゆるくなっていくと思います。倫理観って連鎖するんです。不倫が不倫を呼んでしまう。だからパートナーの周りの環境はよく見ておいたほうがいいですね」
◆恋愛が盛り上がる期間は3年?しかし不倫の場合は
報道されたLINEのやり取りのなかで、「(交際)7ヶ月。まだそれだけだけど毎日濃すぎ」という一文があった。恋愛が盛り上がる期間について聞いてみると、不倫と普通の恋愛ではまた違うという。
神崎「個人差はありますが、恋愛感情は一般的には3年と言われています。馴れ合いの関係になってしまったら半年とかで消えてしまうこともありますが……。ただ不倫の場合は、人にバレちゃいけないという背徳感がガソリンになって燃える可能性がありますね。だから、普通の恋愛よりは圧倒的に盛り上がりやすい。悪いことをしてるという共犯感覚が、2人の間に変な絆を生んでしまっているので」
3年で終わらない可能性は大いにあるが、問題点は女性側が現実的になった時である。
神崎「女の人は最初は恋愛だけで楽しんでるけど、いつか必ず“結婚”が視野に入ってくるので、そうなった時に結婚相手を新しく探すか、相手に結婚を求めるという二択が考えられます」
奥さんにバレていない関係性の場合、女性が相手に離婚を迫りすぎて振られるパターンもよくあるらしい……。
神崎「結局不倫をする人はお父さん・旦那という役割以外で、オスの部分を満たしたい方が多いと思います。基本的には奥さんが一番、恋愛感覚では不倫相手って感覚で。ただ男性は基本遊びのパターンが多いので、よっぽどじゃない限り、自分を支えてくれる奥さんと子供を切り捨てるっていうのは考えていない。じゃないとすぐに離婚してると思いますから」
◆田中圭構文から見える“不誠実さ”
神崎さんは、田中圭とされる男性の文面からは、“不誠実さ”が見てとれるという。
神崎「不倫をしている男性って、確信的なことは言わないものです。『うちのベッド相当合ってるよね?』に対して『めいが合ってるのよ』とか、『未来にめいがいなくなるっていうのをビビってる』とか。女の子が期待を持ちそうなワードを散りばめてるけど、ぼんやりしたことばかりで、そこにはなんの確約もない。女の子の気を引くギリギリの言葉使いをしてるなっていう風に見えてしまいます」
SNSなどの反応を見ると、お互い本気のようにも見えるが、男性が「遊んでいる」のは明らかなのだとか。
神崎「男性が先輩的な立場であれば、一緒に悩むのではなく、自ら動くと思います。誠意があれば『こんなに巻き込んでしまったから、まずは俺が周りの人にちゃんと説明するよ』ってなるのかなと……。10歳以上年下の女性に業界の先輩である40代男性がかける言葉ではない気がします」
不倫は2人の問題ではあるが、神崎さんは「責任を取る」という姿勢が見えないことに不信感を抱いたという。
神崎「本気の恋愛だったら現実的なことを言ってると思うんですよね。いつか一緒に住みたいねとか……でも、不倫は結婚生活のわずらわしいこととか将来の難しいことを考えなくてもいいもの。恋愛の楽しいところ、美味しいところだけを貪り合えるから盛り上がれるんです。そしてまだまだ日本は男性社会、不倫は女性が損をするだけです」
芸能人の不倫スキャンダルは仕事への損失が非常に大きい。その時に「責任を取る」のは結局、自分である。世間の風当たりは強い。SNSで話題の田中圭構文が、本当に田中圭が書いたものかどうかは定かではないが、どちらにせよ不倫のリスクが大きいことには変わりないのである。
<取材・文/桃沢もちこ>
【桃沢もちこ】
'93年生まれのフリーライター。社会問題からトレンド、体験取材まで幅広く書きます。アイドルオタクに詳しい。Twitter:@mochico1407