
明治初期に、政府のお雇い外国人技術者として来日、日本各地で治水工事に携わったオランダ人、G・A・エッシャーのひ孫で、水利工学研究者のヨリス・エッシャーさん(59)が、福井県坂井市の国重要文化財、三国港突堤(通称・エッセル堤)の築造法や指示を盛り込んだエッシャー直筆の設計図や地形図などの図面6点を同市に寄贈した。図面は坂井市の龍翔博物館でこの秋、公開される。
曽祖父のエッシャー氏は1876年に三国に2度滞在。港底の砂だまりがひどく船が停泊できないなどの難題に対して突堤案を提案、設計し、その改修で主導的役割を果たした。三国港突堤は1878年に着工、4年後に完成。現在は全長927メートルあるが、手前の約511メートルが当時の築造。幅は約9メートル。その機能性、技術力の高さ、歴史的価値などから国の重要文化財に指定されている。
寄贈された6点は、和紙に描かれた4点と洋紙の2点で、図面は大きなもので縦62×横92センチ、小さいもので縦31×横41.5センチのサイズのドローイング(図面)。明治初期に突堤が建設された九頭龍川河口の俯瞰(ふかん)図や、船で運搬された石の積み下ろしをイラストで描いた指示書、突堤の基礎部分で水中に沈められた土木技術「粗朶沈床(そだちんしょう)」を具体的に描いた図などいずれも建設工事関連の図面。中には、約500メートルある突堤の根元から先端まで、11地点別の断面を描いたイラストもあり、突堤の構造を知る貴重な史料となっている。
同市の龍翔博物館を訪れたヨリスさんは、「日本にとって貴重な文化財を返すことができて誇り」などと語り、「子どもたちの学びにも役立ててほしい」と今後の活用に期待を寄せている。
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