サッカー日本代表海外組の今シーズンを福田正博が評価 最もインパクトを残したのは?

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2025年06月07日 07:00  webスポルティーバ

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福田正博 フットボール原論

■ヨーロッパのサッカーシーンで多くの日本人選手がプレーするようになり、今季は各チームで存在感のある活躍をした選手が多かった。そんな充実のシーズンを送った選手たちを福田正博氏が評価する。

【チームの中心的な働きを見せた佐野海舟】

 パリ・サンジェルマン(PSG)がUEFAチャンピオンズリーグ決勝でインテルを5−0で下し念願の初優勝を遂げた。PSGはリーグアンでは4連覇、フランスカップも制して3冠を達成している。

 プレミアリーグはリバプールが5シーズンぶりに優勝。ラ・リーガではバルセロナが優勝して、国王杯との2冠達成した。そして、ブンデスリーガはバイエルン、セリエAはナポリが制した。日本人選手たちも、それぞれの所属クラブで存在感を発揮したシーズンだった。

 そのなかで最もインパクトを残したのは、佐野海舟だろう。鹿島アントラーズからブンデスリーガのマインツへ移籍した1年目にしてリーグ戦34試合にほぼフル出場。前年13位から6位へとステップアップを果たしたチームの中心的な働きを見せた。

 守備的MFの佐野の持ち味は、豊富な運動量とリーグ最多のデュエル勝利数やインターセプト数を記録したボール奪取能力の高さ。それに加えて相手ゴール前へと出ていったり、ドリブルで仕掛けられるところも評価している。シーズンを通じて得点こそなかったが、前線に出ていく姿勢が味方のゴール前でのチャンスにつながっていた。

 日本代表にいつ招集されてもいい納得のパフォーマンスを見せ、森保一監督も常にタイミングを見計らっていたはずだ。佐野が加わることで日本代表がどう進化するのかは今後の楽しみ。W杯に向けてもう1シーズンはマインツでプレーしながら、日本代表での地位を確立してもらいたいと思う。

【来季のプレーが楽しみな田中碧】

 遠藤航はリバプールで優勝トロフィーを掲げたが、リーグ戦20試合出場のうち先発は1試合のみ。試合終盤から出場して試合を締める「クローザー」として、本職のボランチ以外にもセンターバックや右サイドバックとしてもプレーする難しいシーズンだった。

 遠藤がまだまだスタメンでバリバリ働けるのは間違いない。リバプールに残留すれば今季と同じようにクローザーの役割を求められるはずだ。移籍する場合、実力、経験の面では引く手あまただが、考慮しなければいけないのは年齢になる。市場価値約16億円と言われる現在32歳の選手に対して、予算を割けるチームは限られてくるだろう。そのなかで今オフに遠藤がどういう決断を下すのか見守っていきたい。

 プレミアリーグのひとつ下のカテゴリーであるチャンピオンシップで1位となって来季の昇格を決めたリーズで、攻守両面でチームの中心となっていたのが田中碧だ。

 昨年9月にブンデスリーガ2部のデュッセルドルフから移籍し、チーム合流当初こそ途中出場だったが、10月からの全39試合のほぼすべてでスタメンを張り、チームの中心として攻守で貢献した。ゴール数も5と田中らしさを見せてくれた。来季はいよいよプレミアリーグでの挑戦。川崎フロンターレから海外移籍して4シーズンはすべて2部リーグでの戦いだった。来季はようやくたどり着いたトップリーグを堪能してもらいたい。

 来季、田中がどんなプレーを見せてくれるか楽しみだが、もうひとりの日本代表MFにもプレミアリーグでプレーするチャンスが巡ってくることを期待している。それが守田英正だ。

 ポルトガルのスポルティングではリーグ2連覇に貢献したが、今季は故障などが影響して先発と途中出場が半々だった。今年5月で30歳を迎えた守田にとって、3シーズンを過ごしたスポルティングから、次のステップを踏むにはちょうどいいタイミングなのではないかと思う。プレミアリーグへの移籍の噂もいくつかあるようなので、まとまることを期待している。

【見事な結果を残した三笘薫】

 プレミアリーグは、日本選手たちが目標にしている舞台だ。名実ともに世界有数の選手が揃い、激しく過酷な戦いが繰り広げられている。その舞台で圧倒的な違いを生み出し続けてくれたのが、ブライトンの三笘薫だった。

 昨季後半は故障で棒に振ったが、今シーズンは開幕から躍動した。36試合で10得点。シーズン終盤は足のケガなどの影響で途中出場が続いたが、見事な結果を残してくれた。いまやプレミアリーグを代表するサイドアタッカーに触手を伸ばすクラブは少なくない。三笘がどういう決断をするのか興味深い。

 クリスタルパレスの鎌田大地はプレミアリーグ1年目でアジャストに苦戦しながらも、リーグ戦34試合に出場し、FAカップでは優勝に貢献した。フランクフルト時代もチームにフィットするまで時間を要したが、ほかの選手が描けないプレービジョンを持っているだけに、来季はよりチームメイトに理解されることで、今シーズン以上に鎌田らしさが発揮されるのではと思う。

 一方、苦しんだのは冨安健洋だった。出場はリーグ戦1試合のみ。足の故障の影響で苦しいシーズンとなった。冨安にとって足の故障は慢性化しつつあるようだ。このままだと選手生命も危うくなりえるだけに、日程面やピッチでの激しいコンタクトで体への負荷の大きいプレミアリーグから離れるのも手ではないかと思う。いずれにしろ、まずはサッカーのできる体に戻し、ピッチに立ってくれるのを心待ちにしている。

>>後編「ブンデスリーガ、リーグアンで活躍した選手たち」へつづく

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