DeNA・バウアー(写真:萩原孝弘) 中4日のトレバー・バウアーが日本ハムのエース・伊藤大海に投げ勝ち、見事な完投勝利を収めた。
初回をすんなりと立ち上がったバウアーは、序盤に2点援護を受け、5回まで無失点ピッチングを披露。6回に1失点したものの、最後までマウンドを譲らず121球の熱投で横浜スタジアムを沸かせた。
完投勝利のポイントはバウアーも「ビッグシチュエーションだった」と振り返る6回と7回とピンチを冷静に凌いだところにあった。
6回は3連打で1点を返され、なおも無死一・二塁で4番のレイエスを浅いセンターフライに打ち取るが、万波中正にはカウントを悪くしフォアボール。1死満塁の大ピンチとなったが、松本剛をショートゴロダブルプレーに斬って取り、最少失点で切り抜けた。7回にも二死三塁で水谷瞬を歩かせ、次打者の石井一成で勝負しサードライナーで得点を与えなかった場面も大きかった。
三浦監督も「ランナーを出した場面で長打を打たれて、一気にゲームを崩されないようにと細心の注意を払いながら、フォアボールでいいところは簡単にカウントを取りに行かない。そこは投手の嗅覚というかそういうものを1球1球感じながら、攻めながらも注意して投球していた。いかにホームを踏ませないかというところで、粘り強く投げていたと思います」と投手心理を分析しながら、無理して勝負にいかなかった場面を振り返った。
バウアーも「向こうもこちらもなかなかチャンスがないところでのビッグシチュエーションだったと思います。自分の中ではあの場面、ヒットを打たれれば1失点ないし2失点とターニングポイントになり得る場面だったので、自分のすべてを絞り出そうと考えてマウンドにいました」と一段階ギアを上げたと告白。万波へのフォアボールは「歩かせたかったわけではないんですけれども」ともちろん勝負にいったとしたが「カウントが悪くなるにつれて、真ん中近くに投げるわけにもいかないですから、フォアボールもやむ無しというような考えは頭の中にありました」と冷静にケースを判断し、結果につなげたと頷いた。
勝利へのこだわりから闘志を剥き出しにするトレバー・バウアー。しかしケースバイケースでの冷静な判断力を兼ね備えているからこそ、中4日での完投勝利を可能にできることを再確認した夜だった。
取材・文・写真:萩原孝弘