安田記念に出走するシックスペンス(撮影:下野雄規) 今週の日曜日は、東京競馬場で安田記念(GI・芝1600m)が行われます。
過去10年の安田記念では前走で1600mに出走していた馬が5勝2着6回3着6回となっています。前走が1400m以下だった馬は3勝2着1回3着2回、前走が1800m以上だった馬は2勝2着3回3着2回となっています。
これを見ると、前走で安田記念と同じ距離のレースを経験している馬に分があると言えそうです。1600mとそれ以外の距離では当然ながら道中のペースは違います。前走で1600m以外の距離を使われていた馬よりも、前走でマイル戦に出走し流れなどに慣れが見込める馬が順当に力を出し切っているとも言えるのではないでしょうか。
一方、前走から距離延長で馬券に絡んだ馬の特徴としては、前走で上がり2位以内を記録していることでしょう。前走で1400m以下に出走し安田記念で馬券に絡んだのは6頭。この内、5頭が前走で上がり2位以内を記録。安田記念は直線の長い東京が舞台ですから、前走で末脚の威力を示している馬は要注意と言えそうです。例外は22年のサリオス。上がりは3位以下でしたが、前走は芝1200mの高松宮記念。短距離の速いペースを経験し追走スピードの強化を図れたことが好走要因と考えられます。
前走からの距離短縮組では海外組に注目したいところです。ここ10年の安田記念において前走からの距離短縮でそのレースが海外だった馬の活躍が目立ちます。昨年の勝ち馬ロマンチックウォリアーも海外のレースから参戦していますし、今年の安田記念でも前走で海外の強豪相手に揉まれてきた馬が活躍するかもしれません。
ここでは、上位人気が予想される馬の死角となりそうなデータをひとつ紹介します。
【条件】
前走阪神芝2000m(ただし、前走4角1番手の馬は除く)
[0-0-0-14]複勝率0%
該当馬:エコロヴァルツ、シックスペンス
(過去の該当馬:21年サリオス3番人気8着、18年ペルシアンナイト2番人気6着)
※特に言及のない限り、データは過去10年間を対象にしています。
上位人気が予想されるシックスペンスが該当しました。
前走からの距離短縮でも好走する可能性はありますが、前走が阪神芝2000mだった馬は苦戦する傾向にあります。過去10年の安田記念で阪神芝2000mから参戦し好走したのは18年のスワーヴリチャードの3着のみとなっています。この時のスワーヴリチャードは前走の大阪杯で勝利。道中では捲る競馬で機動性の高さを見せていました。前走が阪神芝2000mだったとしても道中で機敏に動けるタイプや他を圧倒する先行力のある馬ならば展開の利などを活かして好走する可能性があるのでしょう。
安田記念が行われるのは東京芝1600mになりますので、阪神芝2000mとはコースの回りや距離などが大きく違います。また、東京は直線が長くなっていますが、阪神芝2000mは内回りで直線はそれほど長くありません。このように多くの違いがありますので、阪神芝2000mから参戦した馬は、前走との違いに戸惑ってしまうのでしょう。
シックスペンスの前走は阪神芝2000mで行われた大阪杯に出走し7着に終わっています。直線では前にいる馬を交わせないばかりか、後続にも差される競馬で内容自体も至って平凡に見えます。今回は距離短縮と実績のある東京替わりで多くの支持を集めそうですが、GIで苦戦しているのは気になるところです。
これまでに参戦したGIは前走の大阪杯と2400mで行われた日本ダービー。どちらも2000m以上で距離が長かった可能性は否定しませんが、結果を残せていないのも事実です。GIで通用するところを見せていないにもかかわらず、上位人気に支持されるのは少し疑問に感じます。
過去の傾向から前走で阪神芝2000mに使われていた馬は苦戦していることや、シックスペンスがこれまでのGIで結果を残せていないことを考えると、人気でも高い評価を与えにくい印象です。大きなリターンにも期待しづらいとなれば、本馬の評価を下げることも一考したいところです。
重賞レースの参考に、是非お役立てください。