路上生活者に託された“生後半年の子猫 悲しい生い立ちを知り家族に迎えて17年半 甘えん坊のおじいちゃん猫に流れる穏やかな時間

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2025年06月08日 17:40  まいどなニュース

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愛猫ひこくん

「ひこは、私が自分で迎えた初めての猫で、猫と暮らす幸せを教えてくれた子です」

【写真】お迎え初日の様子…飼い主さんの実家でご飯をモグモグ

そう話すちゃあこさん(@BXKa5Ou90ifNuV2)の愛猫ひこくんは、18歳。

出会いは、2008年の夏。ひこくんは「先住猫と相性が悪い」という理由で、元の飼い主が路上生活者に託した子だった。

路上生活者と暮らしていた“生後半年の子猫”が気になって…

子どもの頃から、猫がいる生活を送ってきた飼い主さん。ひこくんは、とある公園で生まれた野良猫だった。

ある日、近所を散歩していた飼い主さんの母は、路上生活者Cさんと暮らすひこくんが気になった。当時、ひこくんは生後半年ほど。母から話を聞いた飼い主さんも気になり、散歩がてら見に行くと、ひこくんは天真爛漫に木登りをしていた。

やがて、飼い主さんはCさんと話をするようになる。その中で知ったのは、ひこくんの悲しい生い立ちだ。

実はひこくん、一度、保護されたことがあった。だが、先住猫と折り合いが悪かったらしく、元飼い主は自身の散歩コースにいたCさんにひこくんを預けたのだ。

Cさんは首輪を手作りするなど、ひこくんをとてもかわいがっており、手放したくない様子だった。だが、飼い主さんは、いつ立ち退きになる分からない不安定な暮らしや外生活での事故や怪我が心配になり、Cさんと話して、ひこくんを引き取った。

実家には先住猫がいたことや自身が「猫と暮らしたい」と思っていたことから、ひこくんは飼い主さん宅へ迎えられることに。

「ただ、ひこの居場所を作るため、数時間だけ実家で過ごしてもらいました。ひこは好奇心旺盛で、ご飯をたくさん食べ、初めての家ではないかのようにくつろいでいたそうです」

人間にヒゲを焼かれた元野良猫と“夫婦”のような関係に

ひこくんは飼い主さん宅にもすぐに慣れ、くつろいでくれた。幸い健康状態は良く、毎年の健康診断も無事クリアする元気な子に育っていったという。

「お迎え当初は、後追いがすごくて。出かける時には、ドア下の隙間から手をチョイチョイしてきました」

好きだったのは、ボール遊び。投げてもらっては飼い主さんのもとへ運ぶ遊びを何度もせがまれたそうだ。

ひこくんを迎えた2カ月後、飼い主さんは「ひとりでは寂しいかもしれない」と思い、1匹の野良猫を家族に迎え入れた。「ちゃーこ」と名づけたその猫は、生粋の野良育ち。だが、人馴れしており、それゆえに誰かにヒゲを焼かれてしまった。

「だから、たまらず保護したという経緯もあります。ひことは、すぐに打ち解け、まるで夫婦のような関係性になっていきました」

ひこくんは、ちゃーこちゃんにとって命の恩人(猫)にもなった。原因が分からない重度の貧血でちゃーこちゃんに命の危機が迫った時、最後の手段として、ひこくんの血を輸血してもらったところ、奇跡的に回復したのだ。

その後、ちゃーこちゃんは再び貧血を起こすことなく、6年間も生きてくれた。

ただ、仲が良かった分、ちゃーこちゃんを亡き後、ひこくんはひどく落ち込み、何カ月も家の中でちゃーこちゃんを探し回っていたという。

愛猫の老いを受け止めて「意思」を尊重する日々

ちゃーこちゃん亡き後、ひこくんはより甘えん坊になり、食欲が落ちた。18歳の今、MAXで5.6kgあった体重は、3.8kgに。長年、病気知らずだった体に関節炎や膵炎などが現れるようにもなった。

「今は週1回、点滴に通って膵炎の治療をしていますが、血液検査はいつも、炎症値以外はパーフェクト。知らない人は苦手な怖がりですが、通院時はキャリーケースから出た途端、鳴き声ひとつあげないお利口さんです」

ひこくんは通院だけでなく投薬、強制給餌など、猫が一般的に嫌がるようなことも受け入れ、暴れない。

だが、そんなお利口さんにも唯一、突き通したい要求はある。それは水道から直接、水を飲むこと。

甘噛みやペロペロ、髪を触るなど、あらゆる手段で起こされ、おねだりされることもあるが、その行動も飼い主さんには愛おしく映る。

愛猫は、一緒に老いて歴史を刻んできた“戦友”

「長寿の秘訣は生まれ持った遺伝子の強さと、少しの環境の工夫だと思う。大きくなくても過ごしやすい家を心がけ、“猫本来の生き方”をできるだけ邪魔をしないことが大切だと感じています」

そう話す飼い主さんはひこくんが快適なシニア期を過ごせるよう、留守中でもエアコンは年中、つけっぱなし。室温管理だけでなく、湿度も管理している。

また、仕事中には、ペットカメラで様子をチェック。時には、近所に住む母に様子を見てもらうこともあると。い

「遠くに歩かなくてもいいよう、飲み水やご飯は色々な場所に置いています。必要以上に構わず、甘えに来た時に全力で応えるようにしていますが、ひこは常に甘えん坊。話しかけただけでゴロゴロ言ってくれます」

飼い主さんは毎日、猫ファーストを意識し、「いてくれてありがとう」の気持ちを持ちつつ、ひこくんに接している。

「若い時は“猫”って感じでしたが、今は猫の形をした唯一無二の生きものだと感じています。一緒に老いて歴史を刻んできた戦友というか…。ひこは、どんな人間よりも私の全てを知ってる。深い繋がりを感じます」

何十年も共に暮らしてきた2人の間にある絆。ひこくんと飼い主さんの「これまで」は、人と猫は種を超えて分かり合える生き物であることを教えてもくれる。

(海川 まこと/漫画収集家)

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