
今から13年前、Xユーザー・ノイさん(@neu21786269)は、生まれたばかりの子猫たちを保護しました。次々に里親さんが見つかる中、たったひとり残ったのが、サバ白の男の子「ノイ」くん。当初は里親さんが見つかるまでの一時保護のつもりでしたが…気づけば、家族に欠かせない存在になっていました。
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会社の壁のすき間で鳴いていた、3匹の子猫たち
ある日、職場の壁と壁の間から、か細い鳴き声が聞こえてきたという飼い主さん。数日様子を見ても母猫は現れず、同僚たちと相談して保護に踏み切ったのが2011年のことでした。
「3匹の子猫がいたのですが、2匹はすぐに社内で引き取り手が見つかりました。でも、もう1匹だけは体調も悪く、お顔も汚れていて…なかなか里親さんが見つからなかったんです。うちはすでに先住猫がいたので、最初は実家に一時的に預けながら里親探しをしていました」
ところが、思いがけず長引いた里親探しの期間の中で、飼い主さんの気持ちにも少しずつ変化が生まれていったといいます。
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「だんだん情が湧いてきて、結局うちで迎えることにしたんです。保護から2カ月、生後5カ月のときに、正式にノイを家族として迎えました」
ノイくんを迎え、先住猫に変化―驚きの大変身も
実家で暮らしていたノイくんは、引っ越し後の新しい環境に最初は戸惑っていたそうです。しかも、すでに4歳の先住猫がいたため、うまくいくか少し心配もありました。
「でも、うちの先住猫がとても面倒見がよくて。グルーミングをしたり、よく遊んであげたりしてくれたんです。すぐにノイも慣れて、その子とはずっと仲良しでした。ちなみに、数年後に女の子の猫を2匹迎えましたが…そっちはあまり仲良くありません(笑)」
成長するにつれ、ノイくんは想像以上の“変化”を見せてくれました。
「見た目が長毛種っぽくなってきたんです。同じ時期に保護した子たちはみんな短毛だったのに、ノイだけ。体もどんどん大きくなって、しかも食いしん坊。食事管理が大変でした。毛並みにしても体格にしても、“西洋猫の血が混じってるのかな?”なんて想像しちゃってます(笑)」
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ノイくんには、水に対する強いこだわりもあります。部屋のあちこちにコップを置いているものの、お気に入りはただひとつ。
「洗面所で、飼い主の手からガラスのコップで飲みたがるんです。だから、水を飲みたくなると、私が食事中だろうが仕事中だろうがおかまいなし。洗面所に行くまで鳴き続けます。地味だけど、意外と大変なんですよ(笑)」
ふたりの猫と暮らしてわかった、個性のちがい
ノイくんは、先住猫とは対照的な“暴れん坊”タイプ。その違いに、猫の個性の幅広さを実感したといいます。
「性格がまったく違っていて、猫ってこんなに個性があるんだと改めて思いました。先住猫はとにかく甘えん坊で、常に私にべったり。でもノイが来てから、その子があまりべったりしなくなって…ちょっと寂しかったけど、先住猫にとってはそれが良かったのかなって思っています」
ひとりだった先住猫のために、音楽をかけたり工夫していた日々。ノイくんが家族に加わったことで、外出時の心配も少し和らいだそうです。
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「やっぱり兄弟ができたことで、ふたりで過ごしてくれていると思えて、少し安心できるようになりました」
ノイくんのこだわりと、家族だけに見せる愛らしい一面
現在13歳。シニア猫となったノイくんですが、日々の暮らしぶりにはどこか“赤ちゃんっぽさ”が残っているといいます。
「すごくツンデレなんです。普段はかまうなオーラを出してるのに、私がほかの猫と遊び始めると、必ずひょこっと顔を出して遊んでアピールしてきます。そして、夜は暑い日も寒い日も、脚の間にぴったりくっついて寝るんですよ。冬はいいけど、夏は正直ちょっと暑いです(笑)」
そんなノイくんには、10年以上も変わらず大切にしているお気に入りのモノがあります。どれだけボロボロになっても、その情熱は一切衰えません。
「10年以上前に買った雑誌の付録のネコじゃらしが大好きで、今でも毎日のようにくわえて唸っています。もうボロボロで、正直捨てたいんですけど…どうしても手放せなくて(笑)。それから、ほかの子が使わない小さな爪とぎも、ノイだけはすごく気に入っていて、毎日のように抱きついてます。シニアなんですけど、どこか赤ちゃんみたいなところがあるんですよね」
家族以外の人には攻撃的な一面もあるというノイくん。でもその分、家族への甘え方には特別なやさしさがにじんでいます。
「お迎えしたときは、まさかここまで立派な風貌になるとは思っていませんでした。でも、見た目がどれだけ変わっても、性格はずっと変わらない。私たち家族にはしっかり心を開いてくれていると思うと…本当に、愛おしくてたまらない存在です」
(まいどなニュース特約・梨木 香奈)