
こうしたスポーツネックレスでは、世界累計販売本数4300万本を超える(2023年8月時点)ファイテンの「RAKUWAネックレス」が有名で着用者も多く、プロフィギュアスケーターの羽生結弦さん、卓球の早田ひな選手、プロ野球の山田哲人選手といったスポーツ選手たちが着用しています。
筆者はマラソンを走るのですが、周りのマラソン仲間でもこのファイテンの「RAKUWAネックレス」を着用しているランナーがいます。しかし、その具体的な着用効果を聞いても、「よく分からない」という回答が多かったです。
このように、効果はよく分からないけれどなんとなくよさそうだから、という理由で着用している人も一定数いると見受けられますが、実はこのファイテンの「RAKUWAネックレス」、特許取得を目指して特許出願をされたことがあるのです。
ファイテンのネックレスの効果とは
ファイテンは、以下のような特徴で、2011年に健康器具(ネックレスタイプを含む)の発明として特許出願(出願番号2011-141741)をしています。
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この特許出願は、ネックレス以外の健康器具にも適用できる内容になっていますが、ファイテンの主力商品であるネックレスを主として想定した特許出願でしょう。
実際に、ファイテンの「RAKUWAネックレス」は、ネックレスの紐の中にある「中芯」にエネルギー発生体である「永久磁石」が使用されており、人体に触れる紐の表面部(繊維)に、金属微粒子である「アクアチタン」が含有されているので、上記の特許出願の内容と一致します。
特許の出願内容によると、磁石などの磁力によってチタン等の金属微粒子が活性化することで、装着部位のこりや筋肉痛などの改善、生理症状の緩和や血行改善を図ることができる、という効果があるといいます。
チタン等の金属微粒子が、疲労、筋肉痛、こり、冷え、生理不順、不眠などの改善に有効であり、磁石などの磁力によってよりその効果が高まるという理論のようです。
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これらの内容を踏まえると、ファイテンの「RAKUWAネックレス」は、着用部位の筋肉痛や肩こりに効き、筋肉のこりなどをほぐす効果があるのではと考えられます。なお、先述した特許出願は、効果が否定されたわけではありませんが、従来の技術と比べて進歩性がないとして、最終的には特許取得とはなりませんでした。
特許の出願内容からどのような効果があるのかおおよそ分かりました。そこで、筆者が実際にファイテンの「RAKUWAネックレス」を着用して一週間を過ごしてみて、何か効果を感じたか記してみます。
ファイテンのネックレスを試してみた
今回試したのは、ファイテンの「RAKUWA磁気チタンネックレスS-II」です。特許出願の内容を考えると、運動時のみ着用するだけではあまり効果はなさそうなので、24時間着用を一週間続けてみました。
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ファイテンのネックレスを装着した瞬間は、何か首回りが「ビビ」っとくる感じもありましたが、正直、最初の2日間は特に何か効果を感じることはなかったです。
【3日目】
少し眠りが深くなったような気もしますが、それ以外で何か効果を感じる場面もありませんでした。朝のランニングのパフォーマンスもいつも通り。
【4日目】
首回りがたまに「ピリピリ」とする感じがありました。そのおかげなのか、昨日よりも眠りが良くなったように感じました。
【5〜7日目】
雨のためか、全体的にあまり調子が良くなかったです。朝のランニングのパフォーマンスもいまいち。
ファイテンのネックレスを着用して1週間過ごしてみましたが、実感としては以下のような効果を感じられました。
・眠りが少し良くなったような感じがする
・肩こりは少し改善されたかもしれない
・仕事中の目の疲れが以前よりは少し良くなった気がする
なお、筆者は毎朝ランニングをしており、一応好記録を狙うランナーでもあるので、ランニングのパフォーマンスが上がることを期待していたのですが、今回はランニングのパフォーマンスまで良くなった感じはありませんでした。
しかし、ランニング時のストライド(歩幅)が若干広がった感じはあるので、もう少し継続して着用してみると何か変化を感じるかもしれません。いわゆるプラシーボ効果(暗示等により何らかの改善がみられること)の可能性もありますが、全く効果がないわけではないと率直に思いました。
そしていざ着用を継続してみると、どこか着け心地が良いので、ずっと着用していたくなる感じはあります。これは不思議な感覚で、効果がよく分からなくてもなんとなく着用してしまうのも分かるような気がします。
街中で見かける健康器具などには、案外特許製品もあったりするものの、その効果の本当のところは意外とよく知られていないことも多いので、注目してみるといいかもしれません。
<参考>
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
藤枝 秀幸プロフィール
大手IT企業などでSEとしてシステム開発などに従事した後、2009年に「藤枝知財法務事務所」を開業。以降、IT分野やエンタメ分野を中心に契約書業務や知的財産業務を行う。メディアや企業のコンテンツ監修なども手がけている。All About 弁理士ガイド。(文:藤枝 秀幸(弁理士・行政書士))