彼氏の暴力の餌食になりかけた31歳女性。ピンチを救ったのは“傘とトイレ”だった!

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2025年06月09日 16:10  女子SPA!

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パートナーから束縛をされたり理不尽な嫌がらせを受けたりしていても、周りから「それってモラハラじゃない?」と指摘されるまで、本人はそれが精神的なDVだと認識できない。そんなケースも多いようです。

今回は、そんなモラハラ彼氏から逃げることに決めた女性のエピソードをご紹介しましょう。

◆久しぶりに会った友人が妙に痩せていて……

ネイリストの山口真紀さん(仮名・30歳)は、ある日久しぶりに友人の菜摘さん(仮名・31歳/会社員)とランチをしました。

「菜摘とは学生時代にバイト先で仲良くなって以来の付き合いなのですが、昨年7年振りに彼氏(30歳/会社員)ができて同棲を始めて結婚間近だと聞いて。邪魔したら悪いと思ってあまりこちらから誘えずにいたんですよね」

なので菜摘さんからのお誘いが真希さんはとても嬉しかったんだそう。

「ですが久々に再会してみたら、以前はちょっとぽっちゃりめで肌に張りのある健康的な見た目だった菜摘が、妙に痩せてしまって、どことなく疲れているような印象を受けました。心配になって『大丈夫? 今は幸せなの?』と思わず聞いてしまいました」

◆彼女の様子は、パニック障害の症状とそっくりだった

すると菜摘さんは「大丈夫だよ! ただちょっとこの間、彼と歩いていたら急に動悸が激しくなって息が苦しくなって。立っていられなくなって道路に座り込んじゃったことがあって怖かったの。しかもその後も何度か同じようなことがあって。まぁ、しばらくしたらすぐに治るんだけどね」と、どうってことないように言ってきたそう。真希さんは、妙な違和感を覚えました。

「それは私が以前、派遣社員していた頃にストレスからパニック障害になってしまった時の症状とそっくりだったんですよ。思わず菜摘に『その時に彼は介抱してくれたの?』と聞いたら、座り込んでなかなか復活しない菜摘を道端に置いて先に帰ったって言うんですよ。

あ、これは普通じゃないしかなりヤバいかもしれない……と思い、彼がどんな人なのかを詳しく聞いたんです」

◆不機嫌という名の暴力で彼女をコントロール

するとその彼は基本的には明るく陽気な人のようで、菜摘さんは“心配症で繊細な彼”と語っていました。ですがその話を聞く限り真紀さんには、“束縛の激しい自分勝手なモラハラ男”としか思えなかったそう。

「菜摘はひとりっ子で親ともずっと仲良くやってきた穏やかな性格で、激しく怒られたりマイナスな言葉を浴びせられることなく育ってきたそうです。でもその彼は自分の気分でいきなりブチ切れたり、菜摘を否定する言葉を投げつけたりすることで『お前は俺より立場が下。こっちの思い通りに動かないとまたぶちのめすぞ』と、不機嫌という名の暴力で菜摘をコントロールしているようでしたね」

◆発作の原因が、彼氏のモラハラだと気づいて

お人好しな菜摘さんは、彼が不機嫌になる度に「自分が至らないからだ」と思い込んでしまっているようだったので、真紀さんは絡まった糸を解(ほど)くように“その彼がいかに理不尽なことをしているか”、そして“菜摘さんは全く悪くない”ということを説明しました。

「そして『おそらくそれはパニック障害の発作だと思う。私にも経験があるの。それぐらいストレスで心が疲弊しているんじゃない?』と語りかけると、菜摘は『そう言われてみれば、症状が出たのは全部彼が不機嫌になった後だったかも……』とハッとしていました。そこからゆっくりと洗脳が解けるように、自分の置かれている状況を理解していったんです」

◆モラハラ男の留守中に引っ越しを試みたけれど

そのようにして彼との別れを決意した菜摘さんは、彼が仕事に行って留守にしている隙にその部屋から出ていく決心をしたそう。

「とにかく1日でも早く救出してあげたかったので『彼にバレないように何となく荷物をまとめておいて。私がレンタカーを借りて行くから、それにサッと荷物を積み込んで、こんな生活からはおさらばしよう』と話しました。そして決行の日がやってきたんですが……」

さて2人の身に何が起こったのでしょう?

「やっと自由の身になれると希望に胸を膨らませながら荷物を運んでいたら、なんとその時間に帰ってくるはずのない彼が玄関から顔を出し『何をやってるんだ!』と叫ぶと菜摘を取り押さえようとしたんですよ。

私がとっさに菜摘を庇って彼に体当たりすると『ふざけんなっ』と反撃されて、思いっきり蹴られてしまったんです」

◆菜摘さんの“覚醒”で事態は急展開

ですがそれを見た菜摘さんが『ふざけんなはこっちのセリフだ!』と覚醒し、彼を玄関にあった傘で思いきり突きながらトイレに押し込めたそう。

「そこのトイレは引き戸で、閉めた後に傘で突っかえ棒をすれば外から閉じ込めることができるタイプだったんです。ですがヤツが『開けろ! こんなことしてどうなるか分かってるだろうなっ』と叫びながら中からこじ開けようとガッタンガッタン大暴れしていてめちゃくちゃ怖くて。荷物はまだ少し残っていましたが、私たちは急いで車に飛び乗って逃げ出したんです」

車を走らせしばらくして落ち着くと「怖かったね〜! ゾンビ映画の脱出シーンみたいだった」「ゾンビの方がモラハラしてこない分マシだよ。アイツはゾンビ以下」と笑い合い、幸せな空気が流れました。

「そして菜摘が『自分がやられている時は我慢しちゃってたけど、真紀が蹴られた時は絶対に許せなかったし、助けなきゃと思ったら力が湧いたんだ』と言うので『これからは、自分のこともそうやってちゃんと大事にしてあげないとダメだよ』と私が返したら『本当にそうだね』泣き笑いしていましたね」

◆トイレに閉じ込めた彼はどうなった?

そうやって彼から離れることができた菜摘さんは、真紀さんの部屋に居候しているそう。

「あの日の夜に『あ、あの彼トイレに閉じ込めっぱなしだし、部屋の鍵も閉めてこなかったけどヤバくない?』と私が慌てたら『大丈夫!』とクスクス笑うので理由を聞いたんですよ」 
 
すると菜摘さんは「何かあったら彼をトイレに閉じ込めるシミュレーションを何度もしていて、ちょうどぴったり合う傘も用意しておいたし、もしそのまま逃げても彼はいつもスマホを肌身離さず持っているから大丈夫」と、そこまで考えていました。

「さらに『それにあのマンションの壁超薄いし、彼が夜中にブチ切れた時にしょっちゅう苦情が来てたぐらいだから大丈夫。きっと自力でなんとでもできるよ』と笑顔の菜摘を見て、やっぱり彼女はお人好しだなと思ってしまいました」
<文&イラスト/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。Twitter:@skippop

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