安田記念を制覇したジャンタルマンタル(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る安田記念
【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着
父パレスマリスはベルモントS(米G1・ダ12ハロン)、メトロポリタンH(米G1・ダ8ハロン)の勝ち馬。ジャスティンパレス(天皇賞(春))、アイアンバローズ(ステイヤーズS)の半兄にあたる良血です。アメリカにおける8年間の供用で、BCジュベナイルターフ(米G1・芝8ハロン)を勝ったストラクター(レックススタッドで供用中)など4頭の北米重賞勝ち馬を出しました。全体的には地味な成績です。
ところが、日本では様相が異なります。わずか7頭の外国産馬・持込馬のうち6頭が勝ち上がり、うち2頭が重賞を勝っています(もう1頭はノーブルロジャー)。アメリカにおける代表産駒が芝馬であることを考えても、日本の芝にそれなりの適性があることは間違いないところでしょう。
2024年から日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスで供用されています。初年度の種付け頭数は262頭。全種牡馬のなかでナンバーワンです。
母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11ハロン)の勝ち馬。息子のジャンタルマンタルはその資質を受け継いで芝向きとなりました。
これで3つめのGIタイトルとなりますが、まだ4歳と若く、現在のマイル路線にはこれといったライバルが見当たらないので、さらにタイトルを上積みする可能性が高いでしょう。
◆血統で振り返る英ダービー
【Pick Up】ランボーン:1着
3番人気ランボーンが逃げ切り勝ちを収めました。勝ちタイムは2分38秒50。同じエイダン・オブライエン厩舎の1番人気ドラクロワは直線伸びず9着。
父オーストラリアは2014年の英・愛ダービー馬。種牡馬入りした2015年の種付け料は5万ユーロでしたが、今年の種付け料は1万ユーロ。10年間で5分の1にまで下落していました。ガリレオ→オーストラリア→ランボーンと3代連続で英ダービーを制覇したことになりますが、これは246回の英ダービー史のなかでタイ記録。もし将来、ランボーン産駒が英ダービーを勝てば、4代連続の新記録となります。
母ゴッサマーウィングスは、クイーンメアリーS(英G2・芝5ハロン)2着、フライングチルダーズS(英G3・芝5ハロン)3着という成績があります。父オーストラリアは重厚なスタミナ血統なので、母のスピードは好ましいでしょう。
血統の2代目にガリレオとスキャットダディを併せ持つ、という配合構成は、昨年の勝ち馬シティオブトロイと同じ。ガリレオを抱えた馬の英ダービー制覇は8年連続です。