警視庁品川署に移送される日本大重量挙げ部元監督の難波謙二容疑者(左)=10日午前、東京都品川区 日本大重量挙げ部の奨学生から授業料名目などで金をだまし取ったとして、警視庁捜査2課は10日、詐欺容疑で、同部元監督の難波謙二容疑者(63)=東京都狛江市東和泉=を逮捕した。
同課は同様の手口により10年間で、計48人から計約3800万円を詐取したとみて調べる。
逮捕容疑は2022年12月、翌年度に入部予定の奨学生の保護者4人に「2年次以降は徴収されない」と偽り、本来は支払いが免除されている施設設備資金などを請求して計205万円をだまし取った疑い。
同課によると、難波容疑者はコーチに指示し、入学金や授業料の一部または全額が免除される奨学生の保護者に対し、入学時に大学側への支払いが必要だとする金額を記載した独自の請求書を送付していた。
同部の口座に金を振り込ませた後、一部を詐取。残りはコーチが正規の振り込み依頼書を利用し、学生名義で大学に振り込んでいた。大学はこうした「代理徴収」の手口に気づいていなかった。
詐取金は現金で引き出し、自身の研究室に保管していた。同課などによると、大半は自身のスーツやバッグの購入、高級外車BMWの塗装費などに流用したとみられる。
日大によると、同様の手口は少なくとも20年ほど前に始まり、不正徴収額は計約5320万円に上った。
日大は、別の不祥事を調査する中で今回の不正を把握。被害が確認できた元部員の保護者ら58人に不正徴収相当額を全額返金した。
難波容疑者の逮捕を受け、「社会に深くおわび申し上げるとともに、厳正に責任追及をする。引き続き捜査機関に全面的に協力していく」とコメントした。