兵庫県の斎藤元彦知事=4日、神戸市内 兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラなどを告発した元県民局長(昨年7月死亡)の私的情報が漏えいした問題で、神戸学院大の上脇博之教授は10日、情報を外部に漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反容疑などで、斎藤知事と片山安孝元副知事、井ノ本知明前総務部長の3人に対する告発状を神戸地検に提出した。
告発状によると、総務部長だった井ノ本氏は昨年4月、元県民局長が公用パソコンに保存していた私的情報が印刷された文書を、県議3人に閲覧させて情報を漏えいし、地方公務員の守秘義務に違反したとしている。
斎藤知事は井ノ本氏に対し、情報を県議に知らせるよう指示し、副知事だった片山氏は、知事から指示があったと井ノ本氏から報告を受け、追認したとしている。
上脇教授は記者会見で「知事や元副知事の指示で行われた組織的な犯罪だ。捜査機関には真相解明の上、厳重な処罰を求めたい」と述べた。
元局長の私的情報漏えいを巡っては、県が第三者調査委員会を設置。今年5月27日に公表された調査委の報告書は、井ノ本氏が県議に情報を漏えいし、漏えいは斎藤知事と片山氏の指示の下に行われた可能性が高いと指摘。漏えいの目的については、元局長の人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性に影響を与える点にあったと県議が受け止めたことに触れ、「一定の説得力がある」とした。
斎藤知事は報告書について、「漏えいの指示はしていない」と自身の関与を否定。県として刑事告発しない方針を明らかにしていた。