サッカー日本代表が最も苦手そうな国 来年のワールドカップ優勝候補フランスに立ち向かう方法はあるのか

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2025年06月11日 07:20  webスポルティーバ

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いま日本が欧州最強国と戦えば(4)〜フランス

 ワールドカップでの最高位はベスト16の日本が目標を「優勝」に設定した。そこで世界の「ワールドカップ優勝候補」の現在地を比較検証しながら、森保ジャパンの"今"を探った。

 第4回は、2018年ロシアワールドカップ優勝、2022年カタールワールドカップ準優勝と世界を席巻するフランスだ。

 ディディエ・デシャン監督が率いるフランスは、2大会連続でワールドカップのファイナリストになっている。

 前線のふたり、キリアン・エムバペ、ウスマン・デンベレは説明不要のスーパースターである。エムバペはレアル・マドリード1年目でラ・リーガ得点王に輝き、デンベレはパリ・サンジェルマンのリーグアン、チャンピオンズリーグ(CL)優勝の原動力になった。ドリブルひとつをとってもタイプは違うが、ともに1対1ではほとんど止められず、とにかく超人的である。

 ブラッドレー・バルコラ、デジレ・ドゥエ(ともにパリ・サンジェルマン)、ミカエル・オリーセ(バイエルン)という若手アタッカー3人も、実力は追随する。すでにアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)は代表を引退しているが、アタッカー陣は次の時代も安泰といったところか。欧州屈指のストライカーに成長したインテルのマルクス・テュラムの定位置がないほどである。

 中盤は、伝統的にフィジカルに優れた選手が多い。オーレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ(ともにレアル・マドリード)やマヌ・コネ(ローマ)は、高い防御力を誇る。一方で、アドリアン・ラビオ(マルセイユ)やウォーレン・ザイール・エメリ(パリ・サンジェルマン)のように"テンポを変えられる"プレーメイカーも擁する。

 バックラインでは、イブラヒマ・コナテ(リバプール)、ダヨ・ウパメカーノ(バイエルン)がそれぞれプレミアリーグ、ブンデスリーガの優勝チームの守備を支えた。ウィリアン・サリバもアーセナルですばらしいシーズンを過ごしている。右サイドバックのジュル・クンデはバルセロナで攻撃センスが光り、アウトサイド、インサイド、攻撃に厚みを与える。左サイドバックのテオ・エルナンデス(ミラン)の攻撃参加も出色だ。

【日本のサイドはズタズタにされる?】

<プレーの効率性を最大限に高め、勝負強さを誇る>

 それがデシャン・フランスの信条だが、激しく守備し、トランジションで局面を制し、カウンターも猛々しい。パリ・サンジェルマンが欧州王者になったように、攻守の連続性に彼らの強みがあるだろう。パワー、スピードで相手をしのぐだけに、スランプが少ないのも特徴で、「負けにくい」チームだ。

 ネーションズリーグ準決勝でフランスはスペインに4−5と敗れているが、4−0から追い上げた点は見逃せない。常勝チームのしぶとさか。3位決定戦では2−0で開催国ドイツを一蹴している。ワールドカップ優勝国のタフさだ。

 現在のフランスはスペインと並び、世界最強レベルのチームと言える。各選手の所属先も、欧州王者パリ・サンジェルマンを筆頭に、レアル・マドリード、バイエルン、インテル、リバプール、バルサ、ミランなど各国のビッグクラブばかり。強さの"分厚さ"が違う。

 そんななか、スペイン戦で一躍名乗りを上げたのが、21歳のレフティ、ラヤン・シェルキだった。途中出場すると、ワントラップから鮮やかな左足ボレーをエリア外から叩き込んでいる。さらに、見事なスルーパスからオウンゴールを誘った。独特の感性のプレーで、昨シーズンはリヨンで攻撃をけん引。マンチェスター・シティが食指を動かしているという噂だが、違和感はない。

 日本代表は、一番苦手とするタイプの敵ではないか。オーストラリア戦のようにちょっとした守備の混乱で失点していたら、フランスには蹂躙されるだろう。エムバペやデンベレの突破をどうにか堪えても、しつこくセカンドボールを拾われ、セットプレーを増やされ、遅かれ早かれ、砦は陥落するだろう。

 先日のフランスカップ決勝では、伊東純也、中村敬斗、関根大輝を擁するスタッド・ランスがパリ・サンジェルマンと戦っている。攻撃面では中村、伊東が健闘していた。しかし、守備では関根がバルコラのスピードにまったく対応できず、失点を繰り返していた(結果は0−3で敗戦)。スピードや強度が想定以上なのだろう。

 日本がフランスから金星を挙げる可能性は低い。CLの決勝戦でインテルがパリ・サンジェルマンに蹴散らされたように、守りきることは無理だろう。三笘や堂安がウイングバックでバックラインに入った編成では、サイドはエムバペやデンベレにズタズタにされる。幸運に助けられてしばらく失点を免れても、オリーセやシェルキのトリッキーなプレーに膝をつくことになるだろう。

 むしろ真っ向勝負で、「攻撃こそ防御なり」に活路を見出すしかない。

 屈強なMFラインを越えるのは至難の業だが、守田英正や鎌田大地はやり合える。中村もリーグアンで二桁得点を記録し、チームをフランスカップ決勝に導いているわけで、得点力と技術は通用する。また2023−24シーズンのCLラウンド16では、久保建英がレアル・ソシエダの選手としてパリ・サンジェルマンと対決。試合は敗れたし、エムバペには差を見せつけられたが、ゴールにあと一歩と迫っていた。

 森保ジャパンが最適の戦い方を選択できるか―――。

 ロシアワールドカップで、フランスは日本を下したベルギーを準決勝で1−0と破り、決勝ではクロアチアを4−2と寄せつけなかった。日本はベスト16が過去最高。これまでトルコ、パラグアイ、ベルギー、クロアチアに惜しくも敗れてベスト8に勝ち進めなかったが、日本を下した彼らも、ワールドカップ優勝国(それぞれブラジル、スペイン、フランス、アルゼンチン)には歯が立たなかった。

 その格差を正面から見つめ、戦いの算段を整えるべきだ。

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