東京地裁=東京都千代田区(AFP時事) 警視庁新宿署に留置されていた20代男性が、必要がないのに両手首にベルト手錠を掛けられ拘束されるなど違法な処遇を受けたとして、東京都に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、東京地裁であった。篠田賢治裁判長は署員らの一部の行為を「非人道的」として違法と認定し、33万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2022年7月、同室の別の男性が発熱したため、署員に「毛布を1枚だけでも入れてやってほしい」と要望。署員が拒否すると大声を出したため、37時間以上にわたり保護室に収容された。
篠田裁判長は、男性の保護室収容は不合理とは言えないとする一方、入室後は暴れたり抵抗したりしなかったと認定。長時間の収容は必要なく、「留置担当官らが漫然と継続した」と指摘した。
都側は男性が危害を加える恐れがあったためベルト手錠を使用したなどと主張したが、篠田裁判長は「使用の要件を満たさない」と判断した。男性が拘束中、下着姿のまま排尿を促されたことも、「非人道的な措置で、品位や尊厳が大きく傷つけられた」とした。
警視庁の庄司博幸訟務課長の話 主張が認められなかったことは残念。判決内容を精査し、今後の対応を決める。